ブラック人材にはブラック企業がお似合い? ブラック企業を恐れるより、ホワイト人材を目指せ

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ホワイト人材になれる分野を探せ

親愛なる就職活動中の皆様におかれましては、絶対30年大丈夫なド安定業界・企業を探すなどといった株式投資に似た企業選定眼が求められる大きな将来への賭けを、未来とは構造が違う過去のデータに依拠して安易に考えてはいけない。むしろ“この先、この会社は20年大丈夫!”などと言い張るキャリアアドバイザーがいたら、なぜその人はそんな先の業界の競争環境や企業の収益性を見通せるのに、そこの会社の株を買っていないのか尋ねてみよう。

そこにまともな答えがなければ(ただ学生だとその“答え”がいかに馬鹿げたものであるか判断できないのが苦しいのだが)その人の本を買うのをやめ、その予算をいつの日か発売される“グローバルエリートは見た!”の購入費用に充当されることを、力強く推奨したい。

そもそも“首にならず、ずっと食べていける”という理由で仕事を選ぶと自分の適性や活躍できる分野とかけ離れたキャリアを送ってしまうリスクがあり、労組が強いおかげでそれでも首にならないといった、顧客にも会社にもバリューを出さない“ブラック人材”になってしまう恐れがある。まだ20代前半で将来の産業動向も自分の適性も知らない間は、ブラック企業を避けることより自分がホワイト人材になるべく、どの企業に対してなら自身が給料以上の超過利益を稼がせることができるかを考えた方が、結局貴方の将来の助けになるのである。

的外れなキャリアアドバイザーの話を聞いて“長期間働ける会社”幻想に取りつかれることこそが、結果的に貴方の“就職市場での流動性”を落として所謂ブラック企業にロックインされることに繋がってしまう。結局のところ自分を売り続けることのできる分野、つまり経済学でいうところの貴方の“比較優位”のある分野で自分を磨き続けることこそ、あなたにできる唯一のキャリアリスクヘッジなのである。

ムーギー・キム 『最強の働き方』『一流の育て方』著者

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Moogwi Kim

慶應義塾大学総合政策学部卒業。INSEADにてMBA取得。大学卒業後、外資系金融機関の投資銀行部門にて、日本企業の上場および資金調達に従事。その後、大手コンサルティングファームにて企業の戦略立案を担当し、多くの国際的なコンサルティングプロジェクトに参画。2005年より外資系資産運用会社にてバイサイドアナリストとして株式調査業務を担当した後、香港に移住してプライベート・エクイティ・ファンドへの投資業務に転身。英語・中国語・韓国語・日本語を操る。著書に『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(母親であるミセス・パンプキンとの共著)など。『最強の働き方』の感想は著者公式サイトまで。

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