トヨタ、円高でも今期利益予想を上方修正 原価改善や営業努力で従来計画から上積み

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 11月8日、トヨタ自動車は、2017年3月期の連結利益予想(米国会計基準)を上方修正したと発表した。原価改善や営業努力により、営業利益、純利益いずれも従来計画から1000億円上積みした。写真は伊地知 隆彦代表取締役副社長。記者会見で撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 8日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>は8日、2017年3月期(今期)の連結利益予想(米国会計基準)を上方修正した。原価改善や営業努力により、営業利益、純利益ともに従来計画から1000億円ずつ上積みし、減益幅が縮小する見通し。売上高は従来予想を維持した。16年4―9月期(中間)連結決算は円高が響き減収減益となった。

今期の営業利益は前期比40.4%減の1兆7000億円(従来は同43.9%減の1兆6000億円)となる見通し。トムソン・ロイターのスターマイン調査によるアナリスト25人の予測平均値は1兆8810億円となっている。

営業利益に対し、為替変動によるマイナス影響が従来から400億円減り、原価低減と営業努力などによるプラス効果が従来から650億円増える見込み。 

今期の想定為替レートは、対ドルで103円(同102円)、対ユーロで114円(同113円)と従来から円安方向に見直した。  

今期の純利益予想は同33%減の1兆5500億円(同37.3%減の1兆4500億円)、売上高予想は従来の同8.5%減の26兆円を据え置いた。

伊地知隆彦副社長は会見で、上方修正の理由について、英国の欧州連合(EU)離脱決定直後に立ち上げた「緊急収益活動が順調に進んでいる」と説明。従来通り仕入れ先と取り組む原価低減や工場の物流改善などが奏功したほか、4月に導入したカンパニー制でカンパニー長がリーダーシップをとって現場と課題を共有し、「相当、早め早めに改善のネタが出てきた。これを実際に決算数字に結びつけることができた」と述べた。

グループ全体の通期の世界販売計画は1010万台と従来から5万台引き下げた。アジアは156万台(同147万台)に増やしたが、北米は282万台(同288万台)、日本は220万台(同224万台)に減らした。アジアで市場回復を見込むが、北米で乗用車需要が減っているほか、軽自動車市場が弱含んでいることなどを反映した。

伊地知副社長は、17年の北米市場について「安定的に高水準な市場が続く」とみており、主力セダンと小型SUV(スポーツ型多目的車)のモデルチェンジも予定している。旺盛な需要が続くSUV・トラック分野では同年末にメキシコ工場を約6万台増強し、「需要にしっかり応えていきたい」とした。

中間連結決算では、営業利益が前年同期比29.5%減の1兆1169億円となった。円高などの為替変動が利益を5650億円押し下げた。世界販売台数は436万3000台で同2%伸びた。売上高は同7.2%減の13兆0705億円、純利益は同24.8%減の9462億円だった。

 

(白木真紀)

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