トヨタ「カローラ」、デビュー50年目の正念場 セダン購入者の平均年齢は70歳近くに高齢化

拡大
縮小

しかし、高度経済成長とともに豊かさを実感したサラリーマンたちが自分にも手が届く車としてカローラを買った時代はすでに去った。トヨタカローラ徳島(徳島県)の北島義貴会長は、これからも手ごろな価格で安全・環境装備が充実した車として存在感を示し続け、「今よりも若いユーザーが求める車にしてほしい」と切望する。

薄れる存在感

これまでも購入層の若返りに努めてきた。00年に投入したワゴンタイプの「フィールダー」は若い子育て世代に評価され、CMにアイドルの木村拓哉さんも起用。20―30代の顧客も増え、今ではシリーズ全体の販売台数の60%以上を占める。

ただ「カローラというブランド自体を知らない若者もまだ多い」と、次期モデル12代目の開発責任者、小西良樹氏は危機感を募らせる。12代目は品質や性能はもちろん、「デザインも若者好みのかっこいい車を目指したい」と意欲を見せる。

とはいえ50年も生きれば勢いは落ち、その印象も薄れつつある。02年にホンダ<7267.T>の小型車「フィット」に連続年間販売首位のストップをかけられ、その後5年は奪還するも、08年には再びフィットに、09―12年はハイブリッド車(HV)「プリウス」に首位を奪われた。ここ数年はプリウスと11年登場のHV「アクア」との身内2車種に後塵を拝す状況が続いている。

小西氏は「カローラには技術を大衆化する役割もある」と、大衆車の看板は譲らない覚悟だ。歴代開発責任者も「自動運転、燃料電池など時代に応じて進化する新技術を常に先取りし、大衆車として広めてほしい」(10、11代目担当の藤田博也氏)との思いを寄せる。

次ページライドシェアの車へ?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT