トヨタ自動車、「移動サービス提供」を宣言 「つながる車」普及加速
[東京 1日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>は1日、4月のカンパニー制導入で設置した「コネクテッドカンパニー」の戦略説明会を開いた。カンパニーのプレジデント、友山茂樹専務役員は「トヨタは車を作って売る会社であると同時に、移動サービスを提供する会社になる」と明言した。
「コネクテッド」とは車がインターネットに常時接続することを指す。同社はまず、車の「つながる化」に必要な車載通信端末を2019年までに世界で共通化し、20年までに日米で販売するほぼすべての乗用車に端末を標準搭載する計画。走行する車両から集めたビッグデータも解析し、故障を予知して運転者に知らせ、点検入庫を促すサービスなども提供する。社内でも設計・開発にデータを活用し、ビジネスを変革する狙いだ。
シェア(共有)エコノミー企業とも協業する。個人間のカーシェアを提供する米ゲットアラウンドと共同で、スマートフォンで車のカギやドアロック開閉ができる機器を開発、来年1月から米で実証試験を始める。北米で拡大するカーシェアで課題となっているカギの受け渡しの解決につなげる。
また、トヨタは子会社を通じて5月に提携した配車アプリ大手の米ウーバーテクノロジーズ[UBER.UL]とライドシェア(相乗り)に使う車を、ゲットアラウンドとはカーシェアに使う車をリース提供する。個人がライドシェアのドライバーとして、もしくはカーシェアで得た収入から月々のリース料金を回収する。
シェア分野の拡大は新車販売にマイナスとの見方もあるが、友山氏はシェアを通じて車の稼働率が上がれば車の買い替えが早まるとみているほか、「お金がなくても、車を持ってたくさん走れば返済できるという購入形態ができることで、新たな顧客層が開拓できる可能性がある」と語った。
「いつまでも『三河の鍛冶屋』でいていいわけがない。車はもう情報端末になっている」。友山氏は情報端末化した車を安全に走らせ、的確なサービスを提供するために「モビリティサービス・プラットフォーマーとしてビジネスをしていきたい」と話した。プラットフォームや機器などを他社にも開放し、利用料収入なども見込む。
こうした取り組みは海外勢が先行している。米ゼネラル・モーターズ<GM.N>がすでにスマホで解錠・返却できるカーシェアサービスを開始。米フォード・モーター<F.N>も今年1月に車の製造販売にとどまらない「移動サービス企業」への変身を宣言、3月には同サービス関連会社を設立した。トヨタも世界の潮流に乗り遅れないよう展開を急ぐ方針だ。
(白木真紀)
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