ナイキ「パロディ商品」販売者の逮捕は妥当か 時計の「フランク三浦」商標は高裁が認める
有名ブランドのロゴをもじった「パロディTシャツ」は今後、日本で売られなくなるのだろうか。大阪市の繁華街・ミナミにあるTシャツなどの販売店に、大阪府警の捜査員が10月26日、商標法違反の疑いで一斉捜索に入り、店長ら13人を逮捕した。
報道によれば、ナイキに似せたロゴマークに「NICE」「NAMAIKI」と書かれたTシャツなどが、1枚3000円程度で売られていた。若者や観光客らから人気を博していたという。
パロディ商品は、本物と見間違うほど巧妙に真似られたコピー商品とは異なるはずだが、今回、なぜ逮捕にまで至ったのか。警察の対応を弁護士はどのように評価するのか。冨宅恵弁護士に聞いた。
商標が果たす役割は?
「パロディ」には、パロディ漫画やパロディ音楽などの著作権に関する問題と、今回のように登録されている著名な名称やロゴなどの商標権に関する問題とがあります。
商標権が問題となる名称やロゴに関するパロディについては、「本物」と明らかに区別することができるので、問題ないだろうと考えがちです。このような考え方は、商標が自らの商品と他人商品とを区別するもの(「自他商品識別機」)としてのみ存在するという理解が前提になっているのですが、商標が果たす役割は、「自他商品識別機能」に限りません。
商標は、繰り返し使用されることによって認知されるようになります。一定程度の認知度を獲得した商標については、その商標を見ると、誰が提供している商品であるか判断できるようになります。このような商標は「出所表示機能」を備えた商標ということになります。
他方で、特定の商標が付された商品が繰り返し販売されることで、「この商標が付された商品については、このような品質を備えた商品である」と判断できるようになります。これを商標の「品質保証機能」といいます。
さらに、商標の認識度が高まると、特定の商標が付されていることで商品が売れるという状態になり、このような商標は、「宣伝広告機能」を備えた商標ということになります。