「国債買い入れ」にいそしむ日銀 金融政策で追加的なサプライズは起こせず

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株高で一気に上昇した期待を維持するのは難しい(黒田総裁、撮影:尾形 文繁)

日本銀行は11日の金融政策決定会合で、4月4日に決めた金融緩和策の現状維持を全員一致で決定。景気判断は前回の決定会合で「持ち直しつつある」としていたものを、輸出の持ち直しや底堅い個人消費の推移を背景に「持ち直している」と上方修正した。

先月の会見と同様、今回も4月の金融緩和で「低下を促す」とした金利がむしろ上昇していること対する質問が多く出た。黒田東彦総裁は「国債の買入れでリスクプレミアムには低下圧力がかかっている。毎月の購入を進める中でそれが強まっていく」と繰りし説明した。

また、「ボラティリティ(変動率)が高まって金利が上昇するのはよくない」と述べたが、緩和以後に上昇した現状の金利水準をさらに「低下させる」とまでは言わなかった。要は、金利水準が4月の金融緩和前より高いものの、日銀としては債券市場が混乱して金利が乱高下しなければ、現状の水準を許容するというスタンスだろう。

日銀が金融緩和で狙っている効果は①金利の低下、②国債市場の金利低下に伴って、投資資金が株や外国債券などほかの金融商品にシフトするポートフォリオリバランス効果、③大胆な金融政策による投資家や消費者の「期待」の変化、という3つ。①は日銀の狙いとは逆に動いている。③については、アベノミクスや日銀の大胆な金融緩和を受けて、各種指標から物価上昇期待や消費者マインドの改善など前向きな期待の変化が見られたものの、ここに来て足踏みも見られ始めた。

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