日本銀行の「異次元緩和」リスクは大きい ペンシルベニア大学ウォートン校教授 フランクリン・アレン
アベノミクスと日本銀行の「異次元緩和」が世界の注目を集めている。金融論と各国の金融システムの専門家で、日本の金融にも精通しているペンシルべニア大学ウォートン校のフランクリン・アレン教授に、評価を聞いた。
──日本銀行の大規模な量的緩和策に対する評価をお聞かせください。
非常にリスクの大きな政策だと考えている。いくつかの問題が起こりうる。
1つは、仮にインフレ率2%の達成に成功したとして、長期金利が2~3%になってしまったら、日本の多くの銀行が保有する長期債券の価格が下がり、金融システムの安定性に問題が生じる。
また、日本の政府債務残高の総額はGDP(国内総生産)対比で230%に上るので、長期金利が2~3%の状態が長く続けば、そのコストはGDPの4~5%にもなってくる。
一方で、インフレ率が2~3%になったときに、日銀が国債を大量に取得して、それよりも低く長期金利を抑えつけたら、債券の実質金利がマイナスになるため、国内からの資本流出によって危機が生じるおそれがある。
今はこうした危機が起きる確率は低いが、ゼロではない。その場合、日銀がコントロールするのは極めて難しい。
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