世界の富豪たちは今、何に悩んでいるのか 顧客条件は最低1億円!プライベートバンク社長に聞く

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やはり税金は高すぎる

――日本の富裕層が抱える問題とは。

間違いなく、税金が高すぎることでしょう。たとえば、企業オーナーは次の世代へ資産を相続する場合、あまりにも高い相続税をキャッシュで払う必要がある。そのせいで次世代の経営陣は会社の運営に苦戦することもしばしばあるのだ。

だが、会社はただのカネを生み出す機械というわけではない。コアとなる経営理念が宿っている。だから、会社と従業員たち、そしてその会社ならではの理念を次の世代に向けてどう継承していくか、ということが重要だ。

金持ちの家に生まれた場合、いつ子どもたちに家の富の話を具体的にするかも、富裕層の悩みどころのひとつだ。日本の富裕層の多くは、中間層とはそう違わない生活をしているから、実はほかよりも何百億円も多く富があるということを、伝えるタイミングに悩む。

おカネだけでなく、価値観と責任、仕事の意味も伝えたい。子どもの性格や家の事情によって全然違う。こういうルールがない個別事情が多い。

また、家族によっては親が死んでから、こうした富に子どもが気づく場合もある。日本の富裕層の多くは起業したオーナー経営者であるが、カネに無頓着な人が多い。

――富裕層の問題はつきませんね……。

子どもに才能がなく、会社を相続することが難しい場合も当然ある。すべて個別で対応しているが、とにかく早めの話し合いが大事。

ほかにも富裕層の家族同士のイベントを開いて、同じ悩みを経験した家族がその経験を話すこともある。われわれはファミリーコンサルティングではないが、富裕層同士で安心してこっそりお互いに相談できる場を提供することは、富裕層にとっては貴重だ。

これは日本だけでなく、海外でも広いロンバー・オディエのネットワークを生かして共通の悩みを解決する場もある。たとえば、富裕層の女性だけのイベントを開催するときもある。富裕層の妻や娘は、男性とは異なる役割を求められることが多々あるからだ。

――日本の富裕層が海外の富裕層と置かれている環境で違う点は?

日本に限らず、世界中の富裕層が関心を持つことは似ている。子どもや家族への富の継承をどうしていくか、そして基金を世界の恵まれない子どもや、何かの発展のために使おうと考えている。

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