イオンシネマ社長が語る「映画館の存在意義」 なぜシネコンを「大学の学び場」にしたのか

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――文化の拠点としての将来像を教えてください。

やはり84の劇場、それぞれが文化の発信地となることですね。我々には三つの連携が必要となります。まず一つ目は「ショッピングセンター」との連携。二つ目が「作品」との連携。そして三つ目が「地域・行政・学校」との連携。作品ごとに、これらの連携を必ずやっていこう、と心掛けてていますし、今後はそれをもっと強化させなければいけないんだろうなと思っています。

特に今回は、大学との連携というだけではなく、地域に対してどういうメッセージを伝えていくかということもあるので、ここで学んだ生徒たちが今後、地域に根ざしたお仕事をしてもらえたら、という思いはあります。そして今後は連携する大学を増やしながら地域との連携をやっていきたいと思っています。

まだまだ映画の市場ニーズはある

――新しい観客の掘り起こしが必要となりますね。

映画業界の市場はしばらく2,000億円前後で横ばいとなっていますが、絶対にそれ以上のニーズがあると思うんです。特にこの夏は『君の名は。』で映画館に足を運んでいただいていますし、もっと広げていくことは可能だと思っています。2,000億円だと決めつけてしまうと、そのパイの奪い合いになってしまいますからね。

――イオングループとの連携はありますか。

たとえば作品との連携という視点であれば、イオングループの会社の中の近い部門と連携しながら盛り上げていこうということはあります。最近だと『にがくてあまい』という映画が有機野菜を扱っているので、イオントップバリュ・イオンアグリ創造などに協力していただきながら宣伝してもらったりしています。『CUTIE HONEY -TEARS-』という作品はクレアーズというアクセサリーの会社とコラボしたり。子ども向けの作品だったら、キッズ商品とコラボしたり。ショッピングセンター全体を賑わすこともできるので、これからもさまざまな方向で「映画」を盛り上げられないかと模索していきます。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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