「自動運転」で手放し運転できる日は来るか

カギを握るのは「コンピューターの目」

ゼネラル・モーターズ(GM)の「自動運転車」の車内。自動運転の精度向上のカギを握るのは「コンピュータビジョン」だ(写真:Jeff Swensen/The New York Times)

カリフォルニア大学バークレー校のジテンドラ・マリク教授はコンピュータビジョン(いわゆるコンピュータの目)を研究して30年。彼自身は米テスラ社の自動運転機能つきの電気自動車(EV)は所有していないが、オーナー向けのアドバイスはあるという。

「私のコンピュータビジョンに関する知識から言うと、自分だったらハンドルから手を放したりはしない」と彼は言う。

テスラ車が起こした追突事故

マリクが言っているのは、5月にテスラ車が起こした追突事故のことだ。オハイオ州の男性が乗っていた自動運転支援機能「オートパイロット」が搭載されたテスラのEVが大型トラックに突っ込み、男性は死亡した。

当局は現在も事故原因を捜査中だが、この男性はテスラの自動運転機能を信頼しすぎていたようだ。同じことは、先頃、中国で起きたテスラ車の死亡事故でも言えるかもしれない。

一方、自動運転車の製造を2021年までに開始する計画を9月に明らかにしたフォードをはじめ、ほかの自動車メーカーはもっと慎重なアプローチを取っている。たまにハンドルから手を離すといった程度であっても、技術はさまざまな交通状況に対応できるに至っていないという理由からだ。

オートパイロットは人間の運転手に完全に取って代わることを意図したものではないというのがテスラの言い分だ。だが最近になって同社は、ドライバーがハンドルから手を離した際の警告をもっと頻繁に出すようオートパイロットのソフトウエアを改良。また、路上の障害物をこれまで以上に正確に検知できるようにレーダーセンサーを微調整し、コンピュータビジョンへの依存度を下げた。

専門家によれば、5月のテスラ車の事故はコンピュータビジョンの不具合ではない。それでも「コンピュータの目」を自動運転車などに応用するには限界があることを突きつける事例となった。

もっとも近年、豊富に手に入るデジタル画像データやコンピュータの性能アップ、人間の脳の仕組みに着想を得たソフトウエアの開発によりコンピュータビジョンは大きな進歩を遂げている。今ではコンピュータの目は、短い時間で正確に大量に、人間の顔や車のメーカーや型、犬やネコの品種を判別できる。

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