米国留学生の3分の1が中国人である理由

「わが子にメッキをしたい」親世代の思い

中国の留学熱は、日本とは比較にならないほど高い(写真:EKAKI/PIXTA)

「今、TOP100(の中学校)に入らないと、重点高校(教育に関する資源や環境が優れている高校)に入れない。重点高校に入れないと、重点大学(知名度や評価の高い大学)に入れない。重点大学に入れないと、あなたの人生、もう終わり!」。

この恐ろしい言葉は、中国で最近放送された人気ドラマ「小別離」の中の母親のセリフだ。娘に「もう終わり!」でない人生を送らせようとし、受験勉強を強いる。そして、よい学校数が限られる激しい競争から脱出させるために留学させる。その後の親子間の衝突や子供の迷い、留学させた後の親の孤独などをリアルに描いた物語だ。この「恐ろしい」セリフとドラマの生々しい表現は、中国の幅広い世代から共感を得た。

留学ブームの中国は、日本と何が違うのか

2015年の中国人留学生は52万人で、前年に比べ13.9%も増えた。米国にいる外国人学生の3分の1強は中国人である。留学の早期化も進んでいて、大学の留学生数が大学院の留学生数を上回っている。

日本の場合、海外留学はいくつかの不安とともに語られることがある。たとえば、①就職活動への影響、②おカネがかかり経済的な負担が大きい、③留学時の単位認定など大学の制度整備の遅れや両親、家族の理解不足などだ(文部科学省「若者の海外留学を取り巻く現状について」2014年)。それなのに、中国ではなぜ留学が盛んなのだろうか。今回は、中国人の海外留学事情を掘り下げていきたい。

中国には、古くからのこんなことわざがある。「外国の月のほうが丸い」。同じ月でも外国で見たほうが丸い、つまり外国のほうがよい、という意味だ。

そのような中国人の感覚も手伝ってか、近代中国には、3度の留学ブームが訪れたと言われる。1回目は、19世紀後半から始まった西洋や日本の近代技術、文化を学ぶ留学で「救国」を目指した孫文、周恩来、鄧小平も名を連ねる。2回目は、1980年代の中国の改革開放以降のブームで、もっと先進国のことを知ろうと、視野を広げて優れた知識・能力を身に付けようとした勤勉な人々だ。

3回目の留学ブームは2010年以降にやってきたもので、「80後(80年代生まれ)」「90後(90年代生まれ)」「00後(2000年代生まれ)」の3世代にまたがる。今の若者の親世代は、青春時代に2回目の留学ブームに触れたが、当時は経済条件などが厳しかったために、自らが海外に行って暮らした人は極めて少なかった。その一方で当時の中国では、先進国の哲学、文化に関する書籍がたくさん紹介され、その頃、若かった親世代はそうした書籍を熱心に読んだ経験がある。

それに加えて、周りで海外に行った経験のある人がいれば、その話も耳にしている。欧米などの国に対して、「先進国」「生活がとても便利」「みんな大きな一戸建て(中国都市部では、ほとんどの人はマンション住まいで、一戸建てに住むのは別世界の人だと思っている)に住んでいる」「一般人でも車を持っている」――と聞いて、あこがれを持ち続けた。

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