アジアから「グローバルエリート」を目指す道 狙いやすいのは「アジアリージョナル」

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「アジアリージョナル」の仕事でチャンスをつかむ

かつてグローバルジョブで働くということは、つまりは外資系の企業の本社部門で働くということで、非常にハードルが高かったといえます。

しかしながら、現在はかなり状況が変わってきています。グローバル企業がシンガポールや香港に置いている「アジアリージョナル」の拠点で仕事をするチャンスが増えつつあるのです。

P&Gのように米国のグローバル本社の機能を一部シンガポールに移した例もあります。アジアの売り上げが大きくなり、アジア重視の姿勢が打ち出される中で、アジア統括本社などを設立したり、主要な経営機能を、シンガポールや香港に移管したりする企業も増えています。そうした中で、シンガポールや香港に、多くの新しいグローバルジョブのポジションができているからです。

シンガポールに置かれたアジア本社などでのグローバルジョブの仕事では、日本人の比率はそれほど高くはないものの、一定数の日本人が働いていることが多いです。アジアの景気がよいことが重なり、最も狙いやすいポジションといえます。

いきなり欧米にある本社に転職することはできなくても、シンガポールにあるアジア本社や、シンガポールにある機能別の本部であれば、採用される可能性はある。そして、そこでグローバルジョブの経験値を高め、最終的に、欧米の本社を狙うというキャリアパスも描けるようになりました。

さらに、日本市場の相対的な地位低下もあります。今まで日本市場はアジアの中では1番の市場でした。しかし、日本は消費市場としては急速に経済規模が縮小してしまっています。アジアナンバーワンの市場ではなく、アジアの中のひとつの地域、というレベルまで格が下がってしまっています。

一方で、グローバル企業が今、最も注目しているのは中国市場です。今後は、中国市場(またはアセアン市場)を担当し、アジアで実績を上げることが、出世の道となる時代が迫っていると思います。

というわけで、キャリアデザインという意味でも、日本市場でのトップを目指すのではなく、早いうちから、シンガポールや香港などのアジア地域に出て行って、中国やアセアン市場で実績を上げていくことが必要になっている時代なのかもしれません。

普通のサラリーマンのためのグローバル転職ガイド』でも取り上げましたが、たとえば、シンガポールでの職歴を重ねることによって、徐々にステップアップして、現在は、マイクロソフトのアジア本社部門でマネジャーとして活躍する女性がいます。留学を経て、仕事を探したが欧米での仕事がなかったために、当時はまだ今ほど注目されていなかったシンガポールに行き、外資系の自動車会社に就職。そこで地域をまたがるオペレーションを担当し、その経験が買われて、彼女は現在の仕事を得ています。

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