マックバカ、レストラン再生に挑む OB・丸山鉄二氏に聞く(下)

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僕がアメリカにいた2004年4月に藤田さんが亡くなりました。日本に帰ってきたらずいぶん会社が変わっていました。原田泳幸さんがトップになって、本部長の大半は外国人に変わっていた。

僕はアメリカに行って「日本のマクドナルドには日本ならではのオリジナリティが必要だ」という結論を持ちました。日本とアメリカではお客様もアルバイトも全然違う。でも新しいマクドナルドにはアメリカも日本もグローバル共通でやって行こうという方針があった。意見の衝突やずれは大きかった。決まったことはやらなければならないが、もうやりたいとは思わなくなった。最終的には辞めるしかないので、辞めました。昔がよかったと言うつもりはまったくありません。時代が変わった、それだけのことです。

03年、アメリカに駐在の頃。

その後、民事再生を経て……

――2005年末にペッカリイ(現ハートリンクカンパニー)に転職しました。

無機質な大手外食チェーンは絶対に嫌だった。どうせ転職するなら、社長と直にやり取りできて、手作りで会社を大きくしたいと考えているところがいい。ある人に紹介してもらってペッカリイというレストランチェーンを選びました。

ペッカリイは2009年8月期に売上高26億円だったのですが、僕が入る前に出店した大型店舗の負債があった。あまり詳しいことはお話しできませんが、10年5月に民事再生法を申請して、会社を畳みました。当時、僕は専務でした。その後、RDCホールディングス(埼玉県地盤に、がってん寿司などを展開)がスポンサーになってくれました。RDCの中にハートリンクカンパニーを設立、ペッカリイの優良店舗5店舗を買い取って今に至っています。スポンサーが確定するまで、社員やお客様を動揺させず、スムーズに事業譲渡をするかは苦心した。2011年に亡くなったRDC創業者の大島敏さんが大変魅力的な方で、決断も早く、契約はすっと決まった。本当にありがたい話です。

――ハートリンクカンパニーはどんな会社なのでしょうか

ハートリンクカンパニーはポルトガル料理店ヴィラモウラやパスタ専門のフローラなどを直営で19店、FCで11店を展開しています。2011年10月に老辺餃子館2店を買収して、この1年で大阪にヴィラモウラを出店するなど5店舗を出しました。

外食企業の経営には、どこか親分と子分の「俺の背中を見ろ」という泥臭い風土が残っています。特に飲食店の場合は経験を積むために店を移るという選択肢が必要です。会社や店には満足しているけど、転職するというケースもあります。僕がマクドナルドで学んだ人のマネジメントを生かして、その人がハートリンクカンパニーでほかでは学べないことを得られたなとか、トレーニングにうるさい会社だったけど役に立っていると思ってほしいと思っています。

出店は一段落して、マクドナルドで学んだノウハウや考え方を導入します。人材育成の仕組みを整えて、ハートリンクカンパニーを着実に成長させていきたいと思っています。

(撮影:今井康一)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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