NYダウ、「不吉な暴落のサイン」が点灯寸前 昨夏の点灯時は「チャイナショック」が起きた

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いま挙げた3つのほかにも「52週高値更新銘柄数が52週安値更新銘柄数の2倍を超えない」という項目が加わることもあるようだが、今回は前出の3項目で、足元のNYダウの動向を検証してみよう。

現在は「1項目のみのクリア」状態だが・・

まずは(1)のNYダウの水準だが、足元のNYダウは史上最高値水準でのモミ合い相場となっている。50営業日前は1万8200-1万8500ドルで推移していたことから、現在の水準を維持していればこの項目は容易にクリア(達成)できる。実際、クリアしたりしなかったりという状況が続いている。

(2)についてだが、新高値比率は2.9%とクリアしているが、新安値比率が0.7%に留まっている。ただ、足元のNYダウは高値圏で推移しているが、日経平均同様、一部の銘柄の上昇(NYダウではアップル株)が指数をけん引する格好となっていた。今後、NYダウ高止まりの一方、新安値銘柄が増加する可能性はある。

最後に(3)だが、マクレラン・オシレーターは現在マイナス圏で推移している。9月上旬にプラス圏をつける場面が見られたものの、夏以降はマイナス圏が継続。

上記の結果、現在、3項目中(3)の一つだけがクリアしている状況だが、(1)、(2)の項目についてもクリア間近な状況だ。

仮に昨年6月以来のサイン点灯となると、やはりNYダウの動向には要警戒となろう。NYダウが急落した場合は、日本株はほぼ連動する。

NYダウ下落で、リスク回避の円買いが加速すると、日銀によるETF買い入れ効果も焼け石に水となり、ボラティリティが上昇。先行き不透明感が一気に高まるとオーバーナイトのポジションを取る売買は手控えられ(今もだが)、短期的な投資がメインとなり荒い値動きとなろう。

現在、ヒンデンブルグ・オーメンのサインは点灯していないが、もし10月中にサイン点灯となれば、有効期限は40営業日なのでほぼ年内が対象期間となる。11月の米大統領選挙や、12月の米金利引き上げの可能性などが、急落相場のきっかけとなるのだろうか。オカルト的な名称のテクニカル分析だが、決して侮れない。何かあればもちろんこのコラムでも詳報するが、10月中は要注目と言えそうだ。

 

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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