交易条件の悪化は深刻か 景気・経済観測(日本経済)
安倍政権発足以降、円安、株高が急速に進んだことでマインド面の改善が先行してきたが、ここにきて個人消費、輸出、生産など実体経済の回復を示す指標も増えてきた。こうした中、数少ない懸念材料として指摘されているのが交易条件の悪化である。
交易条件が悪化すると企業収益は改善?
円安は主として輸出の増加を通じて日本経済にプラスの効果をもたらすが、その一方で交易条件が悪化するというマイナス面もある。日本の貿易取引は輸出よりも輸入のほうが外貨建ての割合が高く、為替レートの影響は輸出物価よりも輸入物価のほうが大きくなるためである。
実際、円安が始まった2012年12月から2013年3月までの輸出物価と輸入物価の上昇率はそれぞれ11.2%、14.6%と輸入物価のほうが高くなっている。その結果、輸出物価指数を輸入物価指数で割った交易条件指数は直近4カ月で3.0%悪化した。
交易条件の悪化は日本経済全体でみれば海外への所得流出をもたらし、企業でみれば収益の圧迫要因となる。しかし、実際の交易条件と企業収益の関係を見ると、交易条件が改善している局面では企業収益は減少し、交易条件が悪化している局面では企業収益が増加していることが多い。
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