首都圏工事で活躍!「建設ロボット」大革命 これまでの作業負担が一気に軽減

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これまで工場で単純な溶接を行うロボットはあったものの、建築現場での活用は難しかった。だが、大成建設が今年構築したシステムは、障害物を回避する動きを記憶させることで、固定器具をよけながら、複雑な形状の鉄骨を自動で溶接することができるようになっている。

複雑な形状の鉄骨でも、自動で溶接することができるようになった

ロボットならではのずれのない仕上がりが実現でき、作業効率は格段に上がる。来年度にも本格的導入を見込んでおり、拡大するビルの建設需要に対応していく方針だ。

床の仕上げ作業でも自動化が加速する。ビルやショッピングセンター、倉庫のコンクリート床の仕上げは、職人が中腰体勢のまま、こてを片手にコンクリートの表面をならしていく。コンクリートが固まるまでの限られた時間で一気に作業しなければならないため、床面積の広い建物では作業が深夜まで及ぶことも多い。

効率よく床をならすことができる「T-iROBO Slab Finisher」

大成建設が開発したロボット「T-iROBO Slab Finisher」は、遠隔操作でコンクリート床仕上げを行うことができる。ロボットは無線で操縦でき、足の部分に付いた8枚のこてが急速に回転しながら床をならす。

作業効率は職人の3~4倍。これまで1000平方メートル程度の床を仕上げるには職人約6人で作業していたが、ロボットの導入で操作を行う2人に減らすことが可能となった。

現場改革はこれからも続く

インフラ整備、再開発、東京五輪と、大手ゼネコン各社は空前の国内建設ラッシュで好決算に沸く一方、現場の職人は著しい高齢化が進み、若手人材の確保が追いつかない状況だ。建設業界は2020年の東京五輪後に待ち構える職人の大量離職に危機感を募らせ、ロボットやドローンを駆使した現場の省人化を加速させている。

大成建設技術センターの上野純・建築技術開発部長は「建設業は高齢化が極端に進み、きつい仕事は新規の入職者も少ない。ロボットの導入によって、いかに現場を厳しい労働環境から解放できるかを重視している」と話す。省人化をさらに実現できれば、建設現場の「3K(きつい、汚い、危険)」といったイメージ払拭にもつながる。

2020年以降も、限られた人手でインフラ更新や再開発工事の需要にこたえていくことができるのか。業界に立ちはだかるポスト五輪問題を乗り切るため、ゼネコンの現場改革は今後も続く。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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