ソーシャルゲーム、開発会社の黄昏 「恋してキャバ嬢」で一世風靡の「KLab」が大苦戦

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要因は、新作ゲームの投入遅延にある。第2四半期まで計40本の新作を投入する予定だったが、計画通りに投入できた作品は23本にとどまった。そのうち投入した作品も、13本は計画を遅延していた。真田氏はその理由を「スケジュール管理の面でマネジメントがルーズだった。組織の肥大化により、コミュニケーションがうまく取れていなかった」と話した。

KLabの真田哲弥社長

新作ゲームの大量投入に当たり、Klabは今年度、積極的に従業員を採用している。第2四半期末時点のグループ全体従業員数は943人。前年同時期に比べ、約3.6倍増えた。期初時点では今年度末に1270人まで増員する計画を立てており、現在もその計画は変えていない。

組織の肥大化に伴う開発スケジュールの乱れという点では、今年度上場来初の営業減益となる見込みのグリーも同じだ(関連記事はこちら「グリーとDeNA、実らない海外投資」)。グリーは第2四半期(12年7~12月期)末時点のグループ全体従業員数が2065人と、前年同時期に比べ、倍以上規模が膨らんでいる。同社は今年初め、自主設定したはずの未成年に対する課金額の上限が、守られていなかったことを発表している。

「新規参入」と、スマホ普及による「構造変化」が痛手

ソーシャルゲーム各社がこぞって従業員を積極採用する事情は、「競争激化」と「ネイティブアプリへの対応」だ。

ソーシャルゲーム市場拡大の起爆剤となったのが、プラットフォームのオープン化である。オープン化とは、これまでDeNA、グリーが自社のゲーム提供に限定していた「モバゲー」「グリー」のプラットフォームに外部開発会社の参入を認め、売り上げの一部を手数料として徴収する仕組みだ。

グリーが10年6月、DeNAが10年1月にオープン化を開始した当初は、開発会社も少なく、両社がともに潤っていた。ところが、現在プラットフォーム上に存在するゲームの数はおよそモバゲーが約2000タイトル、グリーが約1700タイトルに上る。ランキング上位のゲームも固定化しつつあり、開発会社同士の優勝劣敗が進んでいる。KLabはモバゲー向け主体に急成長してきたが、プラットフォーム内の競争激化で、存在感が薄れている面がある。

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