タカタ再建スポンサーに5グループが名乗り 債務処理策は調整難航も

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 9月20日、タカタ再建スポンサーに少なくとも5グループが応札したことが分かった。写真は同社のロゴマーク。都内で5月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai/File Photo)

[東京 20日 ロイター] - 相次ぐエアバッグ事故で経営悪化が懸念されるタカタ<7312.T>の再建スポンサー選びは19日に候補企業の一次入札が締め切られ、化学品メーカーのダイセルや米系ファンドなど少なくとも5グループが応札したことが分かった。

再建案の焦点である同社の多額の債務処理について法的整理を検討しているファンドがある一方、債権者の請求権を認める私的整理を求める声もあり、再建案の調整は想定以上に難航する可能性もある。

複数の関係者によると、スポンサー候補の一次入札では、ダイセルが米系ファンドのベイン・キャピタルと、米自動車部品大手のキー・セイフティー・システムズ(KSS)を傘下に持つ中国の寧波均勝電子が米投資ファンドのカーライル・グループと、それぞれ連合を組んだ。さらに、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)<KKR.N>が単独で参加したほか、米国の自動車部品メーカーなども応札したもようだ。

これらの企業やグループは、選定作業を行っているタカタの外部専門家委員会に出資金額を含む再建プランを提出。専門家委は提案内容を検討した上で、10月初めにも2グループ程度に絞り込み、同月中に最終候補となる1社を内定する計画だ。

タカタの経営再建は相次ぐリコールで発生した多額債務の処理が大きな課題になる。同社がこれまでに引き起こしたリコールの費用は1兆円規模に膨らむ可能性があり、自己資本1090億円程度(6月末)を大幅に上回り、債務超過は必至だ。このため、法的整理による債務カットを検討するファンドもある。

しかし、タカタの取引先で債権者でもある自動車メーカーには「リコール費用の求償権を失う法的整理は現実的ではない」(関係者)との意見が強い。この関係者によると、裁判所が関与せず、債権者と債務者の合意に基づいて進める私的整理の手法を使い、タカタが負う債務に上限を設定、株主には100%減資を求める、などの案も取り沙汰されており、再建策の策定は困難を極めそうだ。

さらに、タカタ再建策をめぐっては、同社への出資についてやむなしとする国内自動車メーカーと抵抗感が強い海外メーカーとの間で意見の相違もある。専門家委ではスポンサーの最終選定にメーカーの意向も反映させ、できれば自動車メーカーからの支援出資も得たい考えだが、「簡単にはまとまりそうもない」(別の関係者)のが実情。同委員会が12月を期限としているタカタ再建策の決定が年越しになると予想する声が早くも出始めている。

 

(布施太郎、藤田淳子 編集:北松克朗)

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