阪神・甲子園駅の野球ファン輸送は「神業」だ 試合の流れを読んで臨時のタイミングを判断
プロ野球のペナントレースもいよいよ終盤戦。セ・リーグでは広島東洋カープが優勝を決め、クライマックスシリーズへの進出を目指して残る球団も火花を散らしている。それぞれのファンも球場で、テレビの前で、熱のこもった応援をしていることだろう。
ところで、多くの球場はその観客輸送を鉄道が担っている。試合の進行に合わせてどのように臨時列車を出し、数万人の観客を安全・的確に輸送しているのか。その“神業”ぶりで有名な、阪神電気鉄道(以下、阪神電鉄)の甲子園駅を取材した。
ナイターでも昼から“臨戦態勢”
阪神タイガースの本拠地・阪神甲子園球場。収容人数4万7508人という大スタジアムの最寄り駅が阪神電鉄甲子園駅だ。
「プロ野球の観客のうち、7~8割の方が当駅を利用されます。たとえば試合開始時間が18時だと、熱心なタイガースファンの方はお昼ごろから来場されるので、われわれもその頃から“臨戦態勢”となります」。そう話してくれたのは、観客輸送の陣頭指揮を執る甲子園駅の藤森駅長。今年4月に御影駅長から転任してきたという。
だが、突然“陣頭指揮”と言われても、スムーズにできるものなのだろうか。「実は、阪神電鉄に入社して最初の配属先は、甲子園駅の駅員だったんです。その後、車掌や運転士としても観客輸送を経験していますので、特に戸惑いはありませんでした。経験豊富な助役たちもサポートしてくれますし」(藤森駅長)
同じく取材に応じてくれた助役の桒村さんによると、普段は4人の助役がホームやカウンターで乗客案内にあたるところ、プロ野球開催時などは近隣の駅からの応援も駆けつけ、20人以上で対応するそうだ。
「平日か休日かでも違いますが、往路、つまり球場へ来られるお客様のピークは17~18時ごろ。そこで、この時間帯に当駅行きの臨時列車を出して対応します」(桒村さん)
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