若者は、生意気なくらいがちょうどいい 気鋭の若手監督が語る「継承」の手法

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2012年の本屋大賞第1位に輝いたベストセラー、三浦しをん原作の『舟を編む』が映画化され、4月13日から全国松竹系にて公開される。地道で根気のいる作業である辞書編集の知られざる舞台裏が優しく編み上げられていく。
24万語にもおよぶ言葉の海で奮闘する新人編集部員・馬締光也に、『まほろ駅前多田便利軒』に続く三浦しをん原作作品への出演となる松田龍平。そして馬締が一目ぼれをしてしまう林香具矢に宮崎あおい。そのほか、オダギリジョー、伊佐山ひろ子、小林薫、加藤剛など演技派俳優の競演が実現している。
言葉を通じて人と人との絆をつなげていく、この優しい物語のメガホンをとったのは弱冠29歳の若き俊英、石井裕也監督。今回はその石井監督に本作の「継承」というテーマ、そしてベテランスタッフたちとの仕事ぶりなどについて聞いた。

35ミリ撮影で映画に向かう姿勢を継承した

――近年はデジタル撮影が主流になってきていますが、そんな中で今回、本作を35ミリフィルムで撮影した理由とは?

まず、原作に引っ張られた部分があると思います。今でこそ辞書作りは全部パソコン上でやる作業になっていますが、この映画の舞台となっている1990年代までは、一語一語、手作業でカードに書いた。そういうことをやっている編集部の人たちの映画を撮るならば、映画のスタッフ側も、そこに寄り添わなきゃいけない。みんなで相談して決めたわけではないですが、こういう映画を撮るんだったらそうだよね、というムードがあったんです。

もうひとつの理由として、この作品が「継承」をテーマにしていることがある。辞書作りは1年や2年のスパンで完成させられるような仕事ではありません。何人もの編集者たちがどんどん次の世代に引き継いでいき、言葉を次の世代につなげていくというところがあります。

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