楽天証券が個人型DCでセゾン投信と組む理由 公務員や主婦等1300万人以上の顧客奪い合い

拡大
縮小

楽天証券が扱う個人型DCは、先行しているSBI証券に対して、口座管理手数料で優位に立つ。現在、SBI証券の口座管理手数料は、積立を行う場合で、口座資産が50万円未満だと月額491円。50万円以上だと月額167円となっている。

口座管理手数料が無料、セゾン投信のファンドも魅力

これに対して楽天証券の場合は、口座資産が20万円未満で210円、20万円以上で無料になる。しかも、サービス開始日から2017年12月末までに加入した場合、キャンペーン期間ということで、20万円未満の部分に適用される210円の口座管理手数料も無料になる。

そして、楽天証券の個人型DCにおける注目点は、セゾン投信が設定・運用している2本のファンド、「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」と「セゾン資産形成の達人ファンド」を選べることだ。

セゾン投信(中野晴啓社長)は、2007年3月から両ファンドの運用を開始。現在、11万人を超える受益者がおり、その運用資産残高は1400億円に達している。

多くの投資信託会社は、銀行や証券会社など販売金融機関を介して自社が運用するファンドを販売してもらうが、セゾン投信は設立時から、販売金融機関を介さずに直接、顧客にファンドを販売する「直接販売」にこだわっているのが特徴だ。

その結果、顧客がファンドを購入する際に、販売金融機関に対して支払う「購入手数料」をゼロにするとともに、低廉な信託報酬率を実現している。徹底した長期投資と低コスト主義で個人の人気を集めてきたセゾン投信からすれば、「個人型DCの運営管理機関の中で、口座管理手数料を最安値水準に設定してきた楽天証券は、パートナーとして相応しいと判断した」(中野晴啓セゾン投信社長)。

今後、楽天証券とセゾン投信は、個人型DCを普及させていくにあたり、商品提供だけでなく、加入者に対する継続的な投資教育も含めて、幅広い協力関係を築いていく方針を打ち出している。

鈴木 雅光 JOYnt 代表、金融ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

すずき・まさみつ / Masamitsu Suzuki

1989年岡三証券入社後、公社債新聞社に転じ、投信業界を中心に取材。2004年独立。出版プロデュースやコンテンツ制作に関わる。著書に『投資信託の不都合な真実』、『「金利」がわかると経済の動きが読めてくる!』等。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT