ルネサス、鶴丸・新社長の誓い 顧客との距離近づけ、「面白い」ものをつくる

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――ルネサスモバイルは、フィンランドのノキアとのシナジー効果を期待して10年に180億円を投じて買収したが赤字続きでした。一方でクアルコムは、世界のスマートフォン市場を席巻している。なぜルネサスは、ノキアと組んで同じことができなかったのでしょうか。

当時の着眼点はよかったが、携帯電話の移り変わりの激しさについていけなかった。従来、持っていたわれわれのモバイル事業(従来型携帯電話向けビジネス)が、スマホの勢力拡大によって急激に小さくなった。携帯電話の分野の変化についていけず、今回の事業の方向性の見直しをする状況になった。

迅速な対応が取れなかったのが赤字の要因

――今後の工場再編についての考え方は。

売上高が下がっているとおり、システムLSIを生産する鶴岡工場などの稼働率は落ちています。昨年7月に工場の再編について発表しましたが、それに沿って1つ1つ進めさせていただいている。今回も後工程3工場の売却を発表しました。

――ルネサスはなぜ赤字が続いているのか?

結果として、迅速な行動がとれなかったことがある。ルネサステクノロジとNECエレクトロニクスが10年に一緒になり、新しい会社がスタートした時、100日プロジェクトを作った。2〜3年後はついてどうあるべきか、方法論や戦術を議論した。その時はやれると考えていたが、それ以後のさまざまな外部環境を含めた変化がすごく大きかった。

1つは東日本大震災で那珂工場が被災して、お客様にすごく迷惑をかけてしまった。その後に続くタイの洪水や中国問題、欧州問題などもあった。それが赤字の理由のすべてというわけではないが、大きな波に飲まれてしまい、船出したばかりの新会社が大波を受けたのが苦しかった。経営は結果しかないが、そこの大波に対応できなかったというのがルネサスの赤字体質の原因でもある。

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