大人が「絵本」を読んで得られる意外な気づき 子どもに読み聞かせるだけじゃもったいない

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「絵本のある生活」を送ると実際、どんなことが起きるのか。まず、子どもがいる場合には、絵本は親子のコミュケーション向上に役立ちます。たとえば絵本の場合、一緒にページをめくり、時間とその空間を、自分と子どものペースで楽しむことができます。親が読み聞かせるだけでなく、子どもと会話を交わしながら物語を追っていく時間は親子にとってかけがえのないものになるでしょう。

ちなみに、親が好きな絵本を気に入る子どもも少なくないので、ニジノ絵本屋では「何歳向け」にとらわれることなく、親が持っていてテンションが上がる絵本、家に飾りたくなる絵本をおすすめしています。

また、多くの絵本は子ども向けに書かれているからこそ、多くの「教え」や「気づき」が含まれている場合が多い。たとえば教科書にも掲載されている「スイミー」では、周りと協力することの大事さや、他人との違いを嘆くのではなく、個性として生かすものだ、という教訓が含まれています。また、最近話題のヨシタケシンスケさん著「りんごかもしれない」では、ひとつのりんごをめぐって、ちょっぴり哲学的な発想を学べます。

絵本はもともと子どもが読むことを想定しているので、絵、文章、話ともにわかりやすいのも特徴。もちろん、何を学ぶか、何を感じ取るかはそれぞれの読み手の自由ですが、一般の書籍に比べて読みやすい分、本のメッセージも伝わりやすいのではないでしょうか。一方、ミニマムな言葉で書かれているので、読みこなすには想像力も必要になる。大人になってからなかなか「右脳を使っていない」という人には、ちょっとしたエクササイズになるかもしれません。

絵本が出会いのきっかけになることも

さらに、絵本ピクニックやえほんLIVEのようなイベントを通じて、日常とは違った体験をして、会えないような人に会うことができるのも絵本の新たな楽しみ方です。たとえば音楽やスポーツのように絵本を趣味としてたしなむのもいいですし、LIVEに参加すれば今まで抱いていた絵本に対する概念が変わるような体験ができるかもしれません。子どものものだと思っていた絵本への考え方や接し方を変えることで、新しい世界に出会えるかもしれないのです。

実際、えほんLIVEに参加したお子さん連れのお母さんが「子どものために来たのに、私がすごく楽しめました」と話すことも。また、絵本ピクニックの参加者が、そのまま店舗を訪れ、「絵本を選ぶ時間が好きなんです。有名じゃない、自分しか知らないと思える絵本が見つかると、人に自慢したくなるのです」と興奮して語ってくれることも。

どちらにも共通しているのが、絵本を通して新しい人間関係が生まれたということです。お母さんは、LIVEの常連さんと知り合いになり、ピクニックの参加者は参加者同士で友達関係になることも少なくありません。

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