小田急、シモキタ地下化で“ゴール”見える 四半世紀かけた複々線化に道筋つく

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シモキタでは地上部分の再開発も課題に

一方、地上では、東京都の都市計画事業も含め、地下化後に向けた再開発の計画が進む。すでに3駅の新しい駅舎計画も発表されている。

世田谷区から下北沢駅周辺の再開発計画が発表されているが、道路(補助54号線)を通し、高層ビル建築を容易にする計画は、シモキタという街のあり方を変えてしまうと、大きな反対運動も起きた。

特に、計画された補助道路が小劇場演劇のメッカである「ザ・スズナリ」の場所を通るものであるなど、各種施設の取り壊しや移転を強いるものだっただけに、数多くのアーティストが参加した「Save the 下北沢」運動などが盛り上がりを見せた。黒田征太郎、浦沢直樹、リリー・フランキー、曽我部恵一とのコラボによる「Tシャツ」制作や、さまざまなシンポジウム、パレードなども展開された。

そのほかにも、もう少しシモキタの再開発に前向きなスタンスをとる「小田急線跡地を考える会(あとちの会)」などが活発な議論を展開してきた。各種劇場や、ライブハウスなど、文化の発信地として発展してきたシモキタだけに、その街並みのあり方を変えることについて、賛否両論の議論が住民の間で起きている。

とはいえ、今回の東北沢、下北沢、世田谷代田の3駅地下化で、小田急にとっては大きく前進したことも事実。同社は、混雑緩和や所要時間短縮といった輸送サービスの改善を最重要課題と掲げ、早期の複々線化事業完了を目指してきた。東北沢―和泉多摩川間10.4kmにかけた総事業費は3100億円にも上るが、四半世紀近くかかって、ようやくゴールが見えてきたといってよいだろう。
 

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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