インターン選考に落ちても内定は獲得できる 実施期間は短期化、採用直結の企業は少数派

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11月や1月に会社説明会を開く企業もありましたが、多くは学生の後期試験終了後の2月から学生との直接接触を本格化させていました。つまり以前は、学生はある程度下調べをしたうえでどの会社説明会に参加するかを決めることが可能だったのです。

ところが広報活動開始時期が3月に繰り下げられて以降、このようなステップを踏むことが難しくなりました。3月は春休みの時期。会社説明会を開くなら、最も学生が集まりやすい時期を狙いたい。また学業への配慮の観点からも、春休み期間中に学生と接点を持っておくべきであろう。

このように考えた企業が多かったため、広報解禁月である3月に会社説明会が集中。学生は就職活動が始まると同時に参加予約を求められることになりました。

大学関係者は、こうした事態を当初から予見していました。就職活動生を繰り返し支援している経験から、「企業研究が不十分なままに説明会に参加すると、その後の就職活動がスムーズに進まない。そのような学生を増やしてはならない」と危機感を高めたのです。そして3年生秋の学内業界研究会やOBOG訪問の支援を強化するとともに、「3年生までのインターンシップ参加」を積極的に訴えました。

さらに、企業のインターンシップへの期待は、「3月広報解禁」の採用シーズンを一巡した昨年秋にもう一段膨らみます。2016年卒の採用活動に苦戦した企業は多く、自社や自業界の認知拡大が欠かせないとして、インターンシップの活用をその具体策の一つと位置づけたのです。

2016年度のインターンはコンパクト化

このような背景で拡大した2016年度のインターンシップにはどのような特徴があるのでしょうか。

まず、実施の時期に着目してみましょう。昨年度は、3年生の2月に参加した学生数が、これまでの定番シーズンだった8月を上回りました。これを受け、今年度は夏以外の時期の開催予定が増加。企業の実施予定の統計を見ると、受け入れ企業数が最も多い月は8月ですが、大手など複数の受け入れ機会を用意する企業を中心に、9~12月も少なくありません。また、8月に次いで開催が多いのは、広報解禁日直前の2月、となっています。

次に受け入れ日数はどうでしょうか。企業のインターンシップ実施期間は、2014年度では「1週間以上2週間未満」が最も多く、実施企業の3分の1程度でした。

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