加速する、タイカの挑戦 タイカ
前例のない画期的な発明で世の中に驚きを提供
タイカは1948(昭和23)年、静岡県清水市(現静岡市清水区)で創業した。その沿革はまさに画期的な技術の開発の歴史だった。74年には曲面印刷法を発明し、国内外で特許を出願している。
70年代初頭、プラスチックの曲面に印刷する技術は世の中になく、フィルムを張り合わせることで印刷の代用としていたが、しわになったり柄の向きがそろわなかったりするといった課題も多かった。
タイカの技術者がその解決につながる技術を開発しようとしたが、なかなか名案が出ず、ついに体調を崩してしまう。ところが、薬を飲もうとしたとき、コップの水の中に落としたオブラートが指に張り付いたことから、水圧を利用して立体的なものに印刷をすることを発案。世界初の曲面印刷技術「CUBIC PRINTING(キュービックプリンティング)」が誕生したのである。
「αGEL(アルファゲル)」も、風邪を引いた技術者が、冷凍庫で凍らせて使う保冷枕を利用しているときにヒントを得て生まれた。衝撃吸収素材としてゲル状のものが最適であることを確信し、豆腐、こんにゃく、ゼリーなどさまざまな素材で実験を繰り返した結果、イチゴゼリーがもっとも衝撃を吸収することが判明した。さらに、そこから分子構造が似たシリコーンを創り出すことに成功したのである。
「αGEL」の柔らかさは、ビルの6階相当から生卵を落下させても、わずか2センチメートルの厚みのシートによって卵を割ることがなくピタリと静止できるほど。