日本の株高はいつまで続くか? ヘッジファンドが買い続けるが、春先に調整も

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仕手株ユニクロの威力

ではこの先、株価はどこまで上昇するのだろうか。

米国の企業業績は伸びており、株価上昇が続いているにもかかわらず、足元の予想PER(株価収益率、予想1株益に対する株価)は過去の平均の16倍に及ばない14倍台だ(図上)。しかし、日経平均のPERはすでに27倍である。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資情報部長の藤戸則弘氏は、日本株はすでに「ファンダメンタルズで説明のつかない金融相場になっている。PERではなく、実質PBR(1株当たり純資産に対する株価の倍率)に注目する含み資産株相場で、いずれ地価が本格的に上昇する」と予想する。つまり、バブルの様相を呈してきたといえる。

実際に、年初来の33業種別TOPIX(東証株価指数)の上昇ランキング上位には、倉庫・運輸、陸運、不動産などの含み資産関連が並ぶ(図下)。日本の株高といえば、円安で輸出株主導というイメージがあるが、実態はそうでもない。

相場の異常さを物語る例として、3月4日の週の日経平均株価1万2000円突破が挙げられる。3月8日のメジャーSQ(特別清算指数)算出を控え、日経平均株価は連騰。5営業日で677円上昇し、8日だけで前日比315円上がった。

日経平均を押し上げたのはファーストリテイリング株。4日の週で6120円(24%)、うち最終日には2810円上昇した。日経平均はTOPIXのように時価総額ではなく、株価だけを算定対象としており、値ガサ株に引きずられる。特にファーストリテイリングは柳井一族が66.6%を保有するほか、インデックスファンドが組み入れざるをえない銘柄であるため、浮動株比率が極端に小さいとみられる。実態はヘッジファンドが操る仕手株と化している。

こうした手法を駆使しての押し上げは、1980年代後半のバブル期を彷彿とさせる。

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