ハリウッドで痛感した獰猛なプラグマティズム

大友啓史監督に聞く(下)

全国東宝系で公開中の映画『プラチナデータ』。東野圭吾のベストセラー小説が原作で、DNA鑑定の未来の姿を描きつつ、DNAの力と人の心の謎に迫る物語だ。DNA捜査システムを開発した天才科学者・神楽龍平(二宮和也)とその彼を追う警視庁捜査一課の主任警部補・浅間玲司(豊川悦司)の二人を軸に、東野作品らしい思いがけない結末へと向かうサスペンスに仕上がっている。
そんな壮大な作品の監督を務めるのは、「龍馬伝」「ハゲタカ」などNHKでこれまでにない映像作品を作り出した大友啓史監督。11年4月にフリーとなったが、NHKを離れてからの心境、テレビ・映像業界が抱える問題点について語ってもらった。

インタビューの(上)はこちら

独立して人脈は5倍になった

――2011年4月にNHKを辞めて独立されましたが、独立前と独立後でどう変わりましたか?

基本的には「自分ですべてを決めることができる」ようになった。次にやりたい仕事、会いたいと思う人、会いたいと言ってくれる人に何の気遣いもなく会える。これはとてもストレスがない。感覚的には、独立後のこの2年でNHK時代の20年より5倍は人脈が広がった気がします。

NHK在籍中は、ある意味、その組織の中ですべて成り立っていた。極端に言うと、組織にいるときは、一人のディレクターにすぎませんから。自分で企画を出しても部長がいる。外部の人が大友に映画を撮らせたいと思ったら、まず部長に話がいく。そこで話が途絶えたら、僕の耳にまでその話は入ってこない。その中で、僕がぜひやりたいと思っていても、つぶれてしまう企画があるかもしれない。ところが今は、いろんな人に直接会える。だから企画も自分で持っていけるし、直接持ってきてもらえるようにもなった。たとえば、最初に持ち込んだA社がその企画を買ってくれなかったら、B社に持っていける。ところがNHKのときはA社はNHKしかない。NHKに企画を出して「これ面白いけど、今は無理かな」と言われたらできない。

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