サラリーマン節税の「落とし穴」 副業が赤字なら、誰でも節税できる?

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しかし、「副業だから事業に該当しない」というものではありません。副業であっても事業に該当する場合がある、と、所得税法の条文解説本に堂々と書いてあります。「副業なんて自分には関係ない」と思っている方も多いはず。次に、サラリーマンでも意外と簡単にできる副業の例をご紹介しましょう。

たとえば、文章を書くのが苦でないという方は、ネットビジネスがうってつけです。帰宅後や週末にブログを書いて、広告収入やアフィリエイト収入を稼ぐことができるからです。

大もうけというわけにはいきませんが、ブログが人気になればそこそこの収入になりますし、パソコン代や取材費用などを経費に落とすこともできます。ハンドルネームを使えば、会社に副業がバレる心配もありません。

ただし、あくまでも事業としてやるわけですから、頻繁にブログの更新を行い、内容もある程度のクオリティを保つ必要があるでしょう。

副業を始める前の注意は?

副業を始める場合には、税金上の注意点があります。

まず、事業を開始したら「個人事業の開業届」を税務署に提出します。様々な特典のある青色申告を申請したい方は、「青色申告承認申請書」も税務署に申請期限までに提出する必要があります。

副業が軌道に乗ってきて黒字となった場合には、副業による所得の金額が20万円を超えていたら確定申告が必要です(給与収入が1社からのみの場合)。
さらに、副業の収入が1千万円を超えると2年後に消費税の課税事業者となり、収入の一部を消費税として納めなければならないことも覚えておいてください。

 そして、最後に一言。副業に力を入れすぎて本職の勤務がおろそかにならないように、くれぐれも気をつけましょう。 (撮影:今井 康一)

小澤 善哉 公認会計士・税理士

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おざわ ぜんや

おざわ ぜんや 公認会計士・税理士。1990年東京大学経済学部卒業。太田昭和監査法人(現、新日本有限責任監査法人)を経て1997年に小澤公認会計士事務所を開設。著書に『企業にこっそり教えるだまされないためのIFRS対策の本』『不動産保有の意味を問う』(共著、2008年社団法人、「不動産協会優秀著作奨励賞」受賞)、『図解 IFRSの不動産会計』』(以上、いずれも東洋経済新報社)、『株式投資最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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