最新!「CSR高成長ランキング」トップ30社 市場平均を大きく上回る株価上昇を見せる

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CSRに優れる企業は株式市場からも評価されています(写真:Rawpixel / PIXTA)

今回は2016年版のCSR企業ランキングのラスト、「高成長ランキング」をご紹介する。

※最新のCSR関連ランキングはこちら(「総合ランキング」「部門別ランキング」「業種別ランキング」「金融・未上場」)

現状のCSR全体のレベルはトップクラスではないものの積極的に活動を進めている企業は今後、大きく伸びる可能性は高い。こうした企業を知ることで有望銘柄選びや就職活動での会社選びに役立てられるかもしれない。

このような将来の成長が大きく期待できる会社を探すために毎年作成しているのが、CSRと財務の両面の成長率を考慮した「CSR高成長ランキング」だ。

2012年版ランキング上位企業はその後・・・

このランキングは2012年版から作成しているが、これまで過去の検証は行ってこなかった。そこで、まず初回作成の2012年版CSR高成長企業上位10社の株価の変化について見ていこう。

2012年版ランキングの初出は『週刊東洋経済』2012年3月17日号(発売は2012年3月12日)。その後、3月29日に東洋経済オンラインでも発表している。

紙とWebでのランキング発表終了後の2012年3月30日から直近の上位10社の株価変動とTOPIX(東証株価指数)と日経平均の動きを比べてみた。

ランキング上位10社の2012年3月30日~2016年8月12日の株価を比較すると10社平均は73.8%の上昇となった。1位協和エクシオは745円から1370円へ83.9%アップ。上昇率トップは6位前田建設工業の149.7%上昇(364円→909円)だった。

ちなみにベンチマークとしてよく使われるTOPIXは54.9%の上昇、値がさ株の影響を受けやすくベンチマークとしては問題があるともいわれる日経平均は67.8%の上昇だった。高成長銘柄は一般的に比較対象として使われるTOPIXだけでなく日経平均も上回る高い成績を上げている。

通常のCSR活動は安定期に入った大企業の方が多くの取り組みを行うことができ評価も高くなりやすい。東洋経済CSR評価やCSR企業ランキングもその傾向がある。

『CSR企業総覧』2016年版(東洋経済新報社)画像をクリックすると販売サイトにジャンプします

ただ、こうした会社の株価はすでに優れた点を織り込み済みのことが多い。将来のリスクに対する対応もしっかり行い、安全性は高く、多少の不祥事が起きてもいきなり倒産することはなさそうだが、現状の高い株価がさらに大きく上がる可能性は低いかもしれない。

一方で、まだトップクラスとして認識されていないが、CSRの取り組みを進め、業績も伸びている会社は将来、株価も上がるのではないか。

このように考え、2012年からランキングを作り始めたが、今回の対象企業では仮説どおりの結果になっている。もちろん今後も見ていく必要はあるがCSRと財務の伸び率の高い銘柄を10年後、20年後と見続けていけば、CSR情報の有用性がより鮮明になってくるかもしれない。

さて、こうしたCSRなどの非財務情報を最近、ESG(環境・社会・ガバナンス)情報と呼ぶことも多く、難しい特殊な分析が必要と思っている人もいるかもしれない。

しかし、経験的には普通の人が普通の感覚で「よい」と思える企業がESGでも「よい会社」と評価されることが多い。細かく見てもポイントを絞って見ても高い評価の会社は大きく変わらないというのが現実のようだ。

ESG投資はこのように幅広く世間一般から信頼されるリスク対応力の高い会社に投資して、長期での安定的なリターンを目指す安全性を重視した投資手法と言えるかもしれない。その対象の中からさらに伸びている会社が抽出できれば、パフォーマンスも上がりそうだ。

ファンダメンタルズ分析などを行う個人投資家にもCSR・ESG情報を活用した投資は向いている。現在、個人投資家が簡単に使える情報源は多くないが、今後、情報サービスが充実してくれば、新たな指標なども登場し、個別の「成長企業選び」ももっとやりやすくなるだろう。

続いて、今年の高成長ランキングをご紹介する。作り方は以下の通りだ。2013年から2016年までの4年間のCSR企業ランキングの総合得点、CSR得点、財務得点を使い各年の上昇率で3年平均値を算出。このうち2016年の総合順位が300位以内で総合得点が2年連続でアップしている企業を対象に総合得点上昇率でランキングした。

次ページ「CSR高成長ランキング」トップ30社を公開!
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