要注意!不動産の需給が崩れ始めている ぱっとしない緩やかな下落相場が続きそう

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まあ、20兆円は難しいとしても、10兆円規模の財政投入は十分にありえると思います。量的・質的金融緩和の追加策とマイナス金利の深堀という2つの金融緩和政策を推進させるのと同時に、財政出動を行い、デフレ経済からの脱却と景気の回復を目指すというシナリオだと思います。

藤野:政府は当初5兆円、参院選前は10兆円、その後さらに10兆円から20兆円規模の補正予算を打ち出してきていますが、問題は中身です。中身を見ると、経済にダイレクトに効く「真水」と言われる部分は、3兆円から5兆円程度しかありません。経済対策への期待感は、むしろ尻すぼみになる恐れがあるのでは、とみています。

中野:だとすると、何が最も効果的なのでしょう。

貴重なバズーカの残り玉をどう使うのか

藤野:株価への影響という点で言うと、外国人投資家が最も見ているのは、少子高齢対策と移民対策によって、人口減少を食い止められるかどうかということです。人口減少を食い止められるような対策が打たれないかぎり、株価の長期低迷を止めることはできないでしょう。経済対策についても、期待以上のものが出てくるとは、おそらく思っていないはずです。

金融政策ですが、黒田日銀総裁がこれから打てるバズーカの玉は、そう多くはないと思います。おそらく、残りは2、3発ではないでしょうか。これから先、打ち惜しみの度合いが強まってくると思います。そうしないと今後、何か怖いことが起こった時、何も対応が出来なくなってしまいます。これから先は、本当にバズーカの残り玉が貴重になってきますから、無駄玉を打ちたくないはずです。今までのような、安易な方法で株価を押し上げようとしても、通用しないということです。

中野:そこはちょっと、私は違う見方をしていて、黒田日銀総裁はある種、覚悟を持って金融政策に取り組んでくると思います。2月16日からマイナス金利を導入しましたが、昨年末に比べて株価は下がり、円高も進みました。消費者物価指数を見ても、徐々に上昇率が弱まっています。このままだとデフレになるのは目に見えている。だからこそ、量的・質的金融緩和をもう一段進めるとともに、マイナス金利をさらに深堀りさせる。おそらく、国民が悲鳴を上げて、預貯金から他の資産に資金をシフトさせる動きが出てくるまで、続けるのではないでしょうか。

日銀当座預金に預ける際、今でも0.1%が付利されている部分が残っていますが、すべてマイナス金利にすれば、銀行も預金利率を現状で維持できなくなります。とはいえ、預金の利率をマイナスにするのは法的に認められていませんから、口座維持手数料などを取ることによって、実質的なマイナス金利にするという手は、十分に考えられるでしょう。

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