コマツの「ジョイ社3000億円買収」は割安だ なぜ今が「逆張り」M&Aの好機なのか
「鉱山機械の需要はボトムにあり、当面低迷が続くが、中長期的には成長する市場。いまが(買収の)好機だと判断した」
コマツの大橋徹二社長兼CEOは7月21日、米鉱山機械大手ジョイ・グローバル社の買収発表会見でそう語った。合意した買収価格は、1株当たり28.3ドルで、総額28.91億ドル(約3000億円)。コマツにとっては過去最大規模の買収となる。今後、ジョイ社の株主総会と各国競争法当局からの承認を経て、2017年中頃をメドに完全子会社化を完了する予定だ。買収のための資金調達は、手元資金と借入金で手当てし、増資は想定していない。
1884年設立の老舗メーカー
ジョイ社は1884年設立。1921年創立のコマツよりも老舗で、米国ウィスコンシン州ミルウォーキーに本社を置く。一般建設用の建機が中心のコマツとは違い、石炭や鉄鉱石、銅などの鉱山で露天掘り・坑内掘りを行うための大型機械を専門に、製造・販売している。
前2015年10月期の業績は、売上高が31.72億ドル(約3300億円)、営業損益が11.09億ドル(1160億円)の赤字、純損益が11.78億ドル(1230億円)の赤字。減損とリストラ費用がかさんだ結果の赤字で、これらの一時的費用を除くと、2.62億ドル(275億円)の営業黒字だった。過去10年間の平均営業利益率は17.5%である。高利益率を自負するコマツをも凌ぐ高さだ。今回の買収で両社合計の鉱山機械の売上高は約7800億円となり、世界最大手の米キャタピラーと肩を並べることになる。
コマツが買収を決めた最大の理由は、市場が低迷する今こそ、将来性のある有力企業を買収するチャンスと踏んだことにある。
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