「白川総裁は誠実だったが、国民を苦しめた」 浜田宏一 イェール大学名誉教授独占インタビュー

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現在の日銀法には欠陥、改正すべき

――今回の金融政策に点数をつけると?

点数にはあまり客観性がないが、80点ということかもしれない。ただ、現在の日銀法には「(日銀の)自主性は尊重されなければならない」とあり、金融緩和をしたくなければ断れる。今後も必要な金融政策が今後も続けられるのかといえば、制度的な保証はない。

もっと言えば、日銀法改正の脅しがあったから日銀は従った。「日銀は”いい子”になったんだから、もういいだろう」というのが世間の評価かもしれない。それは日銀からすると、たいへん都合がいい。いい子のふりをして、抵抗しようと思えばまた抵抗できる余地を残しておこう、といった魂胆があるのではないか。

――日銀の対応を見ながら、法改正も考えるべきだということですか。

今の日銀法(1998年に改正)は欠陥のある法律だ。それ以前、日本は50年以上旧日銀法でやってきた。法改正で政府が日銀に何でもできるレジームを変えようとしたのはわかる。しかし、今度は権限がすべて日銀へ行ってしまい、政府がほとんど口出しできない。日銀が目標と手段の独立性を併せ持つ、世界でまれなシステムにしたことが、長期のデフレに国民が苦しめられてきた原因だと思う。

きちんと金融政策を行うように、政府がいつも日銀に圧力をかけていれば、法改正は必要ないともいえる。だが、少しでもインフレの気配が出たら強引な引き締めをしたり、いろいろズルい口実をつくるような「悪い日銀」が、政府に協力する「良い日銀」に変わったとは思えない。政府が逡巡するようであれば、議員立法で法改正をすべきだろう。1月22日の共同声明で、日銀は「雇用」について一言も振れていない。(米国FRBの目的にある)「雇用の最大化」は言い過ぎかもしれないが、雇用水準は適正でないといけない。そうした目標を与えることは重要だ。

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