日産、"自動運転"を「セレナ」に搭載する意味 普及価格帯で世界初も、ジレンマとの戦いへ

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新型セレナに試乗。自動運転中もドライバーはハンドルに手を添えている必要がある(写真:記者撮影)

セレナに搭載される「プロパイロット」では、安全に使ってもらうため、ドライバーはハンドルに手を添えていることが求められ、手を離すと5秒ほどで音とディスプレイで警告が出る。さらに10秒経過すると自動運転モードは解除される。

日産はこの技術を今後欧米や中国向けの新型車にも搭載する。さらに2018年に高速道路の複数車線、2020年に市街地の走行が可能な自動運転技術を市場投入する計画だ。いずれも事故時の責任はドライバーにあるという前提で開発を進める。

居眠り、脇見運転の感知も必要

自動運転中のモニター画面(写真:記者撮影)

三菱総合研究所の杉浦孝明主席研究員は、「自動運転技術によりドライバーの注意低下を招いて新たなリスクを生むようなことがあってはならない。ドライバーの注意力を認識する機能はこれから必須になる」と話す。

プロパイロットは、ドライバーの居眠りや脇見など不注意運転は感知できない。日産も今後の開発ではドライバーの監視機能を強化する考えだ。

新技術の普及には一定のリスクが伴うのが常だ。リスクを超えた自動運転機能のメリットを日本の消費者や社会にどれだけ訴求できるか。新型セレナは重責を背負っている。

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年10月から東洋経済編集部でニュースや特集の編集を担当。

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