増え続ける外国人研修生 不正行為の続出で移民論議が本格化

増え続ける外国人研修生 不正行為の続出で移民論議が本格化

4月9日、公益法人・国際研修協力機構(JITCO)が運営する「外国人研修・技能実習制度」に応募して来日した3人の中国人女性が、劣悪な労働条件で働かされたとして、研修先の農家と、第1次受け入れ機関、JITCOの3者を相手取り、未払い賃金と慰謝料の支払いを求める訴えを熊本地裁に起こした。

「私の研修生なので自由に使ってやってください」。原告の一人、中国山東省出身の夏暁明さん(23)は研修先のトマト農家が近隣のイチゴ農家にこう話しているのを聞いて愕然とした。「私たちは農具扱いなのか……」。夏さんは2006年4月にトマト栽培を学ぶために来日、農繁期の7月から9月までは月に1~2日の休みしか与えられず働いた。トマト栽培は機械化されておらず、手作業が中心の重労働。「真夏のハウス内は室温が約48度まで上昇し、毎日10時間以上も働いた。熱中症で倒れても病院に連れていってもらえなかった」と振り返る。

トマトの収穫も済み、ハウスの撤去を行った11月末、夏さんは落ち着いて専門知識を学べると思った。が、その矢先に食肉加工場で働くよう命じられた。年明けには前述のイチゴ農家に送り込まれた。「どうしてトマトの研修なのにイチゴの作業までやらされるのだろう」と、さすがに何かおかしいと気づき始めた。

2年目に研修生から技能実習生になると、毎日の残業も強要されるようになった。ふとJITCOから配布された「実習生手帳」に目を落とすと、残業代が規定以下であることに気づいた。彼女たちの残業代は1年目の研修期間は時給350円、2年目は400円。そもそも制度では研修期間中は残業させてはならないことになっている。実習生になると最低賃金法(熊本県の最賃は620円)が適用されるため、農家は二重の違反を犯していたことになる。夏さんはトマト農家を問い詰めたが取りつく島がない。そんな中、昨年末に天草市の縫製業者で働く中国人実習生たちが未払い賃金の支払いなどを求めて提訴したことを知り、声を上げた。

拡大一途の研修制度で違法な人権侵害が蔓延

日本の外国人研修制度は1960年代に始まった。技能実習制度が創設されたのは93年。研修生としての受け入れ、技能実習への移行者とも、近年は右肩上がりの拡大を続け、93年には年間4万人弱だった研修生の新規入国者は、07年に10万人の大台に乗った。今では研修生の9割が技能実習生へと移行している。国籍別では技能実習移行者の85%を中国人が占め、ベトナム、インドネシアと続く。

規模拡大に伴い、国際協力という本来の目的から外れ、低賃金・単純労働に従事させられているケースや劣悪な労働条件、深刻な人権侵害が生じていることが明らかになってきた。夏さんたち3人は来日早々、第1次受け入れ機関の事務局長から「紛失するといけないので預かります」とパスポートを取り上げられ、承諾書にサインさせられた。「嫌だったが、ほかの研修生も提出させられており、自分だけ出さないわけにいかなかった」(原告の一人のトウ慧玲さん〈22〉)。

外出も厳しく制限されていた。夏さんはたまの休日に町に出たら、すぐ農家経営者の妻から携帯電話が入り「帰れ」と命じられたという。「寮に戻ると、どうして休日なのに家にいないのかと怒鳴られた」とも話す。


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