中国で「紙」が大ピンチ。書店が続々倒産中 中国の出版市場で何が起きているのか(上)

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書店が死んだ市場に日本の漫画誌が参入

この年末年始、私の知人の北京駐在員は、西単の北京図書大厦に行って愕然とした。北京図書大厦は、日本で言えば、東京駅そばにある八重洲ブックセンターのような大型書店だが、そこはもはや書店ではなかったというのだ。

北京の代表的な大型書店である北京図書大厦。中に入ると、もはや書店ではなかった……

「私が見たのは、北京駅と同じ風景で、自宅に暖房のない貧困者たちの溜まり場と化している光景です。店内は臭く、ニセ領収書屋やニセカード屋が跋扈し、本の棚を見ていると5人、10人とうさんくさい人々が声をかけてきました。インテリや学生など、ほとんど見当たりません。もはや中国では、書店は完全に“死亡”したことを改めて実感しました」

これまで、日本の大手出版社は積極的に中国市場に参入してきた。その先駆けは、主婦の友社による女性誌の提携発行だったが、いまでは講談社、小学館などの名だたる女性誌はみな中国版を持っており、日本と同じように発行されている。

そして、ここに最近加わったのが、漫画誌である。

角川グループは、11年9月に中国の出版社と提携して漫画誌『天漫』を創刊、講談社も、12年5月に同じような形態で月刊漫画誌『勁漫画』を創刊して、日本出版界のキーラーコンテンツである漫画を中国市場に送り込んでいる。

では、この漫画誌2誌はその後どうなったのだろうか? 中国の出版界、メディア界の動向と併せて、次回詳しくレポートしたい。

※続きは1月23日(水)に掲載します

山田 順 ジャーナリスト

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やまだ じゅん / Jun Yamada

1952年、神奈川県横浜市生まれ。立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。『女性自身』編集部、『カッパブックス』編集部を経て、2002年『光文社ペーパーブックス』を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の両方のプロデュースも手掛ける。著書に『出版大崩壊』『資産フライト』『出版・新聞 絶望未来』『2015年 磯野家の崩壊』などがある。

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