ストレスチェックで成長の仕組みをつくれ アドバンテッジ リスク マネジメント
かつて、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病は「4大疾病」と言われていた。だが、数年前、厚生労働省はこれに精神疾患を加えて「5大疾病」とした。その理由の一つに、うつ病患者が急増していることがある。
実際、精神疾患での労災申請件数と認定件数は年々増加しており、2014年度にはいずれも過去最高を記録した(厚生労働省調べ)。経済の先行きが見通せず、将来に不安がある一方でグローバル化などにより競争は激化している。賃金は上がらないのに成果主義、実力主義で個人間の競争も激しさを増す。その結果、働く人のストレスが高じ、うつ病などの精神疾患を発症する人が増えていると考えられている。ゆえにストレスチェックが義務化されたわけだが、「そんなことをしても会社の利益にはならない」と消極的な姿勢の経営者は意外に多い。
だが、本当にそうだろうか。企業を対象にメンタルヘルスサービスを提供しているアドバンテッジ リスク マネジメントで代表取締役社長を務める鳥越慎二氏は、次のように解説する。
ストレスを減らせばコスト軽減に
「ストレスが原因で社員が病気になり会社を休職したら、他の社員が業務を代行したり、人材を補充したりしなければならず、会社の負担が増します。休業補償なども必要になるでしょう。メンタルに関する病気の場合、原因が会社や仕事にある可能性が大きいので、個人の問題と片付けるわけにはいかず、会社が責任とリスクとコストを負担せざるを得ないのです」
しかも、もし社員がうつ病になり自殺でもしたら、家族から損害賠償を求められる可能性もある。さらに、そうした問題が明るみに出れば、ブラック企業の烙印を押され、顧客も取引先も離れていき、ついには倒産という事態にもなりかねない。
逆に社員のメンタルヘルスに積極的に取り組めば、職場のストレスが軽減され、社員も生き生きと働くようになる。個人のパフォーマンスも上がり、生産性の向上はもちろん、会社の業績も良くなるという好循環をつくり出すことができる。「社員を大事にするホワイト企業」と顧客や取引先からも支持され、優秀な人材も獲得しやすくなるかもしれない。