情熱と創意工夫が「ゆうばり映画祭」を残した

困難を乗り越え続ける「地方映画祭」<1>

北海道の冬の風物詩となっている「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」。多くの映画人がこの地方映画祭に愛着を持つ

現在、日本全国では100を超える映画祭が開催されている。「映画館のない地域でも映画を観たい」という趣旨で立ち上げられた映画祭もあれば、マイノリティーや社会問題について考えるきっかけになることを目的に立ち上げられた映画祭もある。その設立理由はさまざまだが、ほとんどの映画祭は決して恵まれた環境にあるわけでなく、「映画が好きだ」というスタッフやボランティアの心意気によって支えられている部分が大きい。

しかし、その映画愛の前に、「現実」という大きな壁が立ちはだかる。それゆえに彼らに共通するテーマは「いかにして映画祭を続けるか」となる。そこで今回は、地方映画祭を続けるために模索を続ける人々にスポットを当て、その現状をお届けしたい。

アットホームな雰囲気の映画祭

北海道夕張市。かつて炭鉱の街として栄えていたが、石炭需要の減少ともに衰退、最盛期は11万人以上いた人口は、現在1万人程度。その夕張市で開催されるのが、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」(以下、ゆうばり映画祭)だ。最後の夕張炭鉱が閉山となった1990年2月にはじまり、世界中の映画人が“故郷”として愛してきた映画祭だ。

常連はもちろんのこと、初めてやって来た参加者に対しても、平等に「おかえり!」と声をかけてくれる夕張市民のアットホームさに感激し、何度も足を運ぶリピーターも数多い。夕張は雪国の中の小さな街ゆえに、遠出もままならず。結果、夜になると、俳優、スタッフ、映画ファン問わず、大勢の来場者が地元の飲み屋に集まることになる。そこで皆が肩を並べて、夜な夜な映画談義を繰り広げるのもこの映画祭ならではの光景である。

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