福島観光低迷でも「フラガール」は大健闘 業績“復興”進む常磐興産

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会社側は今期初の段階で、通期利用者数を日帰り105万人(前期は37.3万人、前々期は96.2万人)、宿泊30万人(前期は8.5万人、前々期は25万人)と想定。売上高は420億円(前期比42%増)、営業損益は3.1億円の黒字(前期は15.4億円の赤字)、経常損益は4.5億円の赤字(同22.2億円の赤字)、純損益は3.7億円の黒字(同88.5億円の赤字)と、それぞれ前期に比べれば一定の改善を見込んでいた。

実際の利用客数の動向としては、ゴールデンウィークや、最大の書き入れ時である夏休み期間を中心に、従来の中心層だった首都圏からのファミリー客の戻りは鈍かったものの、被災企業でもある常磐興産を支援する動きが全国的に盛り上がり、企業などの団体客が大幅に拡大した。常磐興産はこれまで夏休み期間にはほとんど個人客向け営業しか行ってこなかったが、今期は法人向け営業や旅行代理店経由での販売を強化した結果、宿泊が連日満員状態になったという。

営業利益は会社の増額計画をさらに上回りそう

こうした状況を受けて、会社は夏休み期間終了後の9月7日、今期の上期と通期についてそれぞれ上方修正を発表。利用者数の見通しについても日帰り135万人(期初計画比30万人増)、宿泊37.7万人(同7.7万人増)に見直した。

もっとも、会社が11月13日に発表した上期決算は、9月7日の上方修正に比べてさらに業績が上振れ。にもかかわらず、会社側は通期の見通しについては9月7日の修正水準のまま据え置いた。だが、足元の12月に入っても、会社側によれば、スパリゾートハワイアンズの利用客数は堅調な推移が続いている。

東洋経済では、少なくとも9月7日の修正計画に対する上期実績の上振れ分程度は通期でも上乗せされる可能性が高いことから、会社計画の上振れは必至と見ている。

なお、下期には、フラガールが演じるフラダンスショーのリニューアルを来年1月半ばごろに予定。今年2月のモノリスタワー開業に伴うグランドオープン時以来の大きなショー刷新となる。フラガールにはコアのファンが多く、宿泊客に比べ若干戻りの鈍い、日帰り利用客獲得の1つの目玉になりそうだ。

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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