中国低迷が鉱山機械にも波及、今後1年曇り 【産業天気図・建設機械】

拡大
縮小

建設機械業界の景況感は2012年10月~13年3月までの前半、続く13年4月~9月までの後半ともに、「曇り」となりそうだ。

建機業界は、中国をはじめとする新興国の経済成長を追い風に成長してきた。ところが、昨年春からの最大市場の中国の低迷に引きずられる形で、市場規模は縮小に転じている。日本建設機械工業会によると、10月の建機出荷金額は1670億円(前年同月比16.9%減)と、3カ月連続の減少となった。国内向けは711億円(同22.4%増)と震災復旧需要で好調を維持。一方、外需(輸出)が958億円(同32.9%減)と5カ月連続で減少し、足を引っ張った。

中国向けは軒並み苦戦

日本の建機メーカーは、中国の低迷に軒並み苦戦している。最大手コマツの建設機械・車両部門の12年7~9月期(第2四半期)の中国向け売上高は、前年同期比43.9%減の217億円。売上高に占める中国の比率は、前年の9%から5%にまで低下した。売上高の中国依存度が前期で約4割と高いコベルコ建機は、中国の減速が主因で12年4~9月期(上期)の営業利益が前年同期比で約6割減少した。

中国では、建機メーカーの顧客のほとんどは、親戚からおカネをかき集めて油圧ショベルなどを購入する個人客。その多くは、4兆元の景気対策に中国が沸いた時期に新規参入した元農民だ。すなわち、手元にある機械はまだ使って2~3年と新しく、現状の少ない工事量では、買い換えたり買い増したりする必要がない。9月には政府が1兆元の景気対策を発表したが、実際に工事が動き出し、建機需要が持ち直すまでには、当分時間がかかりそうだ。業界関係者の多くは、需要が前年同月比でプラスに転じるのは、早くても13年の後半とみている。

さらに、超大型機械を手掛けるコマツや日立建機にとって頭が痛い問題がある。中国の資源需要の減速で、インドネシアなどの石炭鉱山向けの鉱山機械で受注のキャンセルや延期が相次いだことだ。足元では受注キャンセルや延期の動きは一服したものの、躍進を続けてきた営業利益率約2割のドル箱事業は足踏み局面を迎えたもようだ。

中国の建機需要低迷と鉱山機械の成長鈍化に直面する建機業界。建機業界が再び成長軌道に入り、天気が「晴れ」に好転するのは、13年度後半以降になりそうだ。 

 

2012年10月~2013年3月 「曇り」

2013年4月~2013年9月 「曇り」
長谷川 愛 東洋経済 記者
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