アコーディアにホワイトナイトは現れず 大幅増配でひとまず買収対抗

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ただ、マーケットの反応がどうなるかはまだ微妙な情勢だ。12月3日の株式市場では、アコーディアのTOBに対する反対意見表明と大幅増配を核とする買収防衛策が、まだ市場の開いている14時過ぎに発表された。にもかかわらず、アコーディアの株価は前週末終値比500円高の7万7200円にとどまり、TOB価格との差は開いたままだった。

ホワイトナイトの選択肢薄れる

アコーディアがPGMによるTOBを阻止するには、TOB価格8万1000円以上に株価を引き上げ、TOBに応募するよりも保有し続けるほうが株主にとって得だと思わせるのが有効な対抗策の1つ。だが、株式市場では、今回、会社側が新たに策定した新中期経営計画の実現可能性も含めて、まだこなし切れていないのが現状だ。

配当性向9割メドの大幅増配という買収対抗策を打ち出したことで、ホワイトナイトを探す、という選択肢がやや薄れたことがどうマーケットで評価されるのかも今後のポイントだ。3日の説明会では、ホワイトナイトの登場する可能性について、「今、何も申し上げることはない。回答は控える」(鈴木隆文取締役)と説明。今後も模索する可能性があることを否定はしなかったものの、積極的な肯定もしなかった。

TOBを仕掛けた側であるPGMの神田有宏社長は、12月3日のアコーディアによる買収防衛策発表を受けて、「利益の9割を株主に還元するという計画案を出して、スポンサーが出てくるわけがない」と今後のホワイトナイト模索の可能性については否定的にコメント。また、「TOB価格やTOB上限(50.1%)の見直しは考えていない。粛々とTOBを実行する」と話した。

PGMによるTOBの買い付け期間は来年1月17日まで。今回のアコーディアによる大幅増配を軸とする買収防衛策がマーケットで今後どう評価されるのか。市場価格がTOB価格8万1000円を上回らない場合に、アコーディア側がさらなる対抗策を打ち出すことはあるのか。ゴルフ場2強の攻防はこれからが本番といえる。

(撮影:梅谷 秀司)

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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