紳士服AOKIが過去最大の改装投資を行う理由

「ポートフォリオ経営」が踊り場に

今期はあえて3期連続減益見込みのAOKI。スーツでは全店の2割の大規模改装に踏み切る

紳士服専門店2位、AOKIホールディングスの“ポートフォリオ経営”が踊り場にある。

2016年3月期の営業利益は、前期比6.5%減の177億円と、2年連続で営業減益を記録。期初の増益予想から一転した。新規出店や複合カフェ事業の寄与によって、売上高は同2.6%増の1885億円と増収だったものの、スーツなどファッション事業の既存店減収、アニヴェルセル・ブライダル事業の受注苦戦などが響いた。

紳士服業界ではAOKIがいち早く、スーツ以外に事業を多角化したことで知られる。潤沢なキャッシュを元手に、子会社のアニヴェルセルで高級ウェディング施設を運営するほか、カラオケ「コート・ダジュール」、複合カフェ「快活CLUB」なども手がける。

現在、スーツ中心のファッションのほか、ブライダル、エンターテイメントの3事業を柱に展開しており、主力のファッション事業の売上高構成比は今や約6割に下がっている。その結果、消費増税で紳士服各社が業績を落とす中、AOKIは2015年3月期、非スーツ以外も含めたポートフォリオ経営の力を発揮し、好調なブライダルがファッション事業の落ち込みを軽減。業界トップの青山商事が前期比15.8%減益となったが、AOKIは減益幅を同6.7%減に抑えた。

複合カフェの成長ではカバーできず

が、2016年3月期はファッション事業の営業利益が前期比8.9%減の98億円と苦戦。好調だったブライダルも、同14.6%減の35億円と厳しい結果となった。複合カフェは成長が続いているとはいえ、まだ規模が小さく、補うことはできていない。

ファッション事業の場合、若年層業態「ORIHICA」が堅調に推移している反面、主力の「AOKI」が苦戦。昨年暖冬の影響で、好採算のコートなど重衣料が苦戦したことは、各社とも一緒だった。それに加えてAOKIは、品質をアピールする一方、セールなど値引きや販促を抑制するマーケティングに転換したものの、顧客への浸透拡大ができなかった。価格競争から一線を引いて戦いを挑んだ結果、既存店売上高は通期で0.8%減となり、3.0%増だった青山商事に対して、「スーツ、シャツ、ビジネスウエアで売り負けた」(AOKI関係者)という。

またブライダルも競争が激しさを増している。AOKIの子会社が運営する14施設の平均組単価は448万円で、全国平均を100万円以上上回って、ブランド化に成功しているものの、施行組数が前期比345組減少した。2014年2月にみなとみらい横浜でオープンした地上5階建ての施設が牽引した効果も一巡。婚姻数自体の減少とジミ婚の拡大で、高級結婚式の需要が下がっている感は否めない。

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