そもそも「校則」すらない
――自由な校風と聞きますが
はい、非常に自由です。生徒によく言うのは、「牧場に例えれば“麻布牧場”では自由が保障されている。でも普通の牧場(学校)と違うのは柵がないことだ。しかもその先は崖だぞ」ということです。要するに自由を満喫するのは結構だけど、社会との線引きは自分たちでやらなきゃいけない、ということを教えます。
中には崖から落ちて痛い目を見る生徒もいますが、「自由と自律はコインの表裏の関係」ということを知ってもらおうと思っています。だから麻布では制服もなければ染髪もOKです。そもそも明文化された校則もないですからね。
多分私の口からいくら説明してもなかなかわからないでしょう? とにかく現場を見てもらうのが一番です。
そういうと校長自ら学校の中を案内してくれた。案内された図書室では生徒たちが熱心に勉強していた……。
と思いきや、携帯電話をいじっている生徒や携帯ゲームをしている生徒、中には寝転がって勉強している生徒もいる。話を聞いた高校2年生は「高校3年から真面目に受験勉強をしようかなぁ、と思っています。志望校は京都大学です」と語る。通常、進学校では高校2年生から受験勉強を開始する。高3から受験勉強では遅すぎないか……と思う記者をよそに、のんびり音楽を聴いている。
「こんな風に見えますが、彼らは優秀です。特に知的好奇心に関しては目を見張るものがあります」と校長は語る。インタビューは図書館で始まった。