日経平均は2カ月ぶり9200円回復 円安好感で輸出関連中心に反発

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21日の東京株式市場では、日経平均株価が前日終値比79円88銭高の9222円52銭、TOPIX(東証株価指数)が同4.97ポイント高の767.01といずれも反発した。日経平均は終値ベースで9月26日以来2カ月ぶりに9200円台回復。円安基調を追い風に輸出関連株中心に買われた。東証1部の売買高は概算で18億7358万株、売買代金は同1兆1101億円だった。

前日の米国株はマチマチ。NYダウは悪材料が出たヒューレットパッカードの急落が響き7ドル45セント安の1万2788ドル51セントと3日ぶりの小反落。その一方で、ナスダック、S&P500は続伸となった。また、朝方発表された貿易収支の4カ月連続の赤字は想定内だったが、米国の住宅指標の改善によりドル高、円安が進んだことを、東京市場は好感した。

本日の日経平均は前日終値比71円高で寄り付いた。先物に大口の買い物が入り、10時39分には106円高まで上昇。そのまま高値水準で推移し、93円高で午前の取引を終えた。昼休みのバスケット取引は249億円の成立で「売り買い均衡」と伝えられた。

後場は前日終値比101円高でスタート。上海株が4日続落し9月26日に付けた安値を更新するなどアジア株が総じて軟調で、ギリシャ財政再建の不透明感から円高・ユーロ安に傾くと、先物に断続的に売りが出て上げ幅を縮小。13時15分には18円高の9161円まで突っこんだ。ただ、円高の流れが止まると再び買いが優勢となり、9200円を再び回復。79円高で引けた。

東証1部の値上がり銘柄数は1026(全体の60.7%)、値下がりは491(同29.0%)。171銘柄が変わらずだった。東証33業種別では、上昇は25業種。円安を好感したゴムと輸送用機器が2%を超す上昇になったほか、鉄鋼、海運、繊維、ガラス、化学などで値上がりが目立った。一方、下落は8業種。過熱感の出ていた不動産(下落率1.61%)がワースト。その他金融、倉庫、保険なども下げた。

個別株としては、値動きの軽い材料株が上昇上位に並んだが、上げ相場を牽引したのは、ソフトバンク、ホンダ、ファーストリテイリング、ファナック、デンソーなど。円安を好感した輸出関連株が目立ったほか、ソフトバンクは京都地裁での契約中途解約金訴訟で勝訴したことが好感された。他に、デンソーやマキタは証券会社による投資判断の引き上げが効き上昇した。

今後の注目点は、引き続き為替動向。さらに出来高も注目される。マーケットでは政権交代による金融緩和、デフレ脱却期待が根強く、欧州債務問題も改善傾向との見方が強い。また、足元の円安状況から、トヨタで850億円の利益増額試算が伝わるなど、輸出関連銘柄で上振れ期待も高まっている。日経平均は終値が9200円を超えたことで、次の小さなフシ目は9292円。抜ければ9506円を目指すとの観測も市場にはある。

山内 哲夫 東洋経済 記者

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やまうち てつお / Tetsuo Yamauchi

SI、クラウドサービスなどの業界を担当。

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