BuzzFeedが「料理」で築いた動画必勝戦略 横展開で急速拡大する「テイスティ」モデル

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「テイスティ」のこうしたモデルをほかのトピック対象へも移植していくことで、ユーザーにはクロス・プロモーションを提供することも可能だ。広告主にとっては、この施策を通して、自社のオーディエンスを関連するバーティカル市場へと拡大できる。

実例としては、「ニフティ」の延長上に、子供向けの「ニフティ・ジュニア」や「ニフティ・キッチン」、さらには余分な出費を避けたい人向けの「テイスティ」関係の新シリーズ「テイスティ・セービングズ」などがある。すべてが「テイスティ」のモデルを踏襲しているのだ。

「テイスティ」のジェネラルマネージャーを務めるアシュリー・マッカラム氏は、「メディアは複雑だ。こうしたプラットフォームの価値は、それをネットワークにつなげたあとに、はじめて実現されるのだと我々は気づいた」と、語っている。「そしてもちろん、プラットフォームが増えれば、価値はより守りやすい」。

マネタイズも抜かり無く

ブランド構築をFacebook動画に依存する場合に危険なのは、パブリッシャーが動画をマネタイズする明確な方法をFacebookが提供していない点だ(YouTubeではさまざまな広告メニューでマネタイズできる)。ただ、Facebookは扉を開きはじめており、「テイスティ」は制限の緩和を利用して広告の販売を開始した。

BuzzFeedだけでなくパブリッシャー全般における、ネイティブアドの課題として、それを広告主のビジネス目標につなげることが難しい点が挙げられるだろう。しかし、「テイスティ」の短尺料理動画は、初期の広告主がクラッカーの「トリスケット」だったように、パッケージ商品に自然と馴染ませて制作できる。また、販売成績にも結びつけやすい。これらは、いま広告主のあいだで、特に要望が高まっている点だ。キッチン家電ブランドであるオスターの提供で制作した動画では、同社のグリルが飛ぶように売れたと、マッカラム氏は主張する。

「プロダクト・プレイスメントに乗り出すチャンスだ。これまできちんと行ってはいなかった」と、マッカラム氏は語る。

ほかのデジタルパブリッシャーも巨大なオーディエンスを集めており、また、「テイスティ」の動画と、無数にあるそっくりな動画を見分けるのは難しくなってきている。規模だけでは「テイスティ」の差別化ができなくなるときがやってくるだろう。

これに対しBuzzFeedは、売りは規模だけではなく、さまざまなプラットフォームにリーチしていること、そして、オーディエンスに受けるものに関する洞察をたくさん持っていることだと述べている。

「規模はひとつ(の資産)だが、それだけというのはあり得ない」とマッカラム氏は語った。

Lucia Moses (原文 / 訳:ガリレオ)

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DIGIDAY[日本版]編集部

2015年9月1日にローンチした「DIGIDAY[日本版]」を運営。同サイトでは米「DIGIDAY」が日々配信する最新のデジタルマーケティング情報をいち早く翻訳して掲載するほか、日本国内の動向についてもオリジナル記事を配信している。メディアジーンが運営

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