ディズニー、期待の再開発を「あえて」縮小? ファンタジーランドの大刷新はなぜ棚上げに

拡大
縮小

会社側は「一気に(広いエリアで)リニューアルしようとすると、工事期間中に客数が減少する懸念が生じる。顧客の満足度を上げながら、段階的に投資したほうが効果的と判断した」と説明する。その判断には同社も迷った様子。もともと今回のような開発計画の詳細は、2015年末の公表を予定していた。しかし、2016年4月にまで延期された経緯がある。

今後の課題は、「3000万人レベル」の水準をいかに維持していくかに移る。ディズニーリゾートでは4月から、大人1日で7400円へと入園パスポートを500円値上げした。その効果も見込み、今2017年3月期期は売上高4799億円(前期比3.1%増)、営業利益1091億円(同1.6%増)を計画する。ただし、値上げは客離れを招くリスクもある。

第2弾の開発計画はあるのか?

ディズニーシーに新設される「ソアリン」

オリエンタルランドは2014年に掲げた「10年間で5000億円レベルの投資を実行する」方針については、堅持する意向だ。

上西社長は今回棚上げとなった、シーの「アナと雪の女王」のアトラクションについても、「(当初計画としていた)ロストリバーデルタ以外の候補地で引き続き検討する」と言及した。

今回発表されたのは2021年3月期までの開発計画。従来掲げていた、2024年3月期までの総額5000億円を投資する計画は撤回しておらず、第2弾の開発プラン公表も期待できる。顧客の満足度を維持し、いかに高水準の入場者数を保つか。オリエンタルランドにとって、投資判断のバランスをとるために悩む日々が続きそうだ。

許斐 健太 『会社四季報 業界地図』 編集長

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このみ けんた / Kenta Konomi

慶応義塾大学卒業後、PHP研究所を経て東洋経済新報社に入社。電機業界担当記者や『業界地図』編集長を経て、『週刊東洋経済』副編集長として『「食える子」を育てる』『ライフ・シフト実践編』などを担当。2021年秋リリースの「業界地図デジタル」プロジェクトマネジャー、2022年秋より「業界地図」編集長を兼務。

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