星野リゾート、大手町温泉旅館の「次」の狙い 経営ビジョンを20年ぶりに変更した本音

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4月中旬、定例会見を開いた星野氏。地方で多くの宿泊施設を運営する星野リゾートの会見には、地方新聞記者の参加も多い(記者撮影)

「20年以上使ってきて、われわれの姿と少し合わなくなってきた部分があったんです」ーー

星野リゾートの代表である星野佳路氏は、20年以上にわたって語り続けてきた、「リゾート運営の達人になる」という経営ビジョンを変えたことを明らかにした。4月中旬に開いた定例会見の場で、記者の質問に星野氏がそう答えた。

星野氏は1991年に実家の星野温泉の社長に就任、「リゾート運営の達人になる」というミッションを掲げてきた。建物や不動産を所有せず、宿泊施設の運営受託に特化することで、事業展開の速さを追い求めた。

リゾート運営の達人を目指して20余年

当初は軽井沢の星野温泉1軒を運営するに過ぎなかったが、2001年に「リゾナーレ小淵沢」の運営を受託。その後も地方の旅館やリゾートホテルの再生で手腕を発揮し、現在では国内34、海外1拠点を運営する規模まで拡大した。

うまくいっているのになぜ経営ビジョンを変えたのか。直接のきっかけは2014年にタヒチで「 KiaOra Rangiroa」(キアオラ ランギロア)の運営を開始したことにある。自分たちが得意とする地方の宿泊施設の運営から一歩を踏み出し、初めて海外での施設運営を行うことになった。

その時に従来の「リゾート運営の達人になる」という日本語の経営ビジョンでは現地のスタッフには伝わりづらい。また「現地のライバルは外資系ホテル。チャレンジャーとして、世界のホテル業界とは違うことをやっていく必要がある」(星野氏)。

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