女性の労働参加促進で成長率は上がる IMFエコノミストの提言
日本では人口高齢化による経済成長へのマイナス影響が大きく、潜在成長率を年に約0・25%ポイント押し下げることが予測される。マイナス効果を緩和する方法としては、移民の受け入れのほか、高齢者や女性の活用が考えられる。日本や韓国などいくつかのアジア諸国では、女性の労働参加率を高めることが、とくに有効だ。
現在、日本における女性の労働参加率は62%で、ほかのOECD参加国と比べて低いレベルにある。これを現状のまま維持する場合と、2030年にG7諸国のいまの平均である70%に引き上げる場合を比べると、後者のほうが、一人当たりGDPを5%引き上げることができ、移行期のGDP成長率は約0・25ポイント上昇する。北欧諸国と同じレベルまで引き上げれば、一人当たりGDPが、さらに5%増加する可能性があり、移行期のGDP成長率は0・5ポイント上昇する。労働生産性は変わらないものと仮定した上での結果だ。日本の中期的な潜在GDP成長率は約1%だ。つまり、これらは移行期の日本の潜在成長率の25%から50%の増加に相当するといえる。
OECD参加国において、過去20年間で女性の労働参加率は上昇している。女性の高学歴化や少子化、晩婚化が進んでいるためだ。日本も例外ではないが、女性の労働参加率は、世界平均に届いていない。
日本では、採用と昇進のシステムが、女性が労働市場に参加する上で、ハードルの一つになっている。大企業の総合職に就いている女性の割合は少なく、6%に過ぎない(図2)。管理職の割合も、アメリカが43%であるのに対し、日本は9%にとどまっている(2009年)。男女の労働参加率や所得にも大きな開きがある(図3)。こうした事実が、女性のキャリア形成における障害となっている。