《プロに聞く!人事労務Q&A》インターンシップの学生がケガをしてしまいました。治療代と慰謝料を払わなくてはなりませんか?

《プロに聞く!人事労務Q&A》インターンシップの学生がケガをしてしまいました。治療代と慰謝料を払わなくてはなりませんか?

質問

今年の夏に大学生のインターンシップを受け入れました。その学生が倉庫で在庫整理をしている時に脚立から落下して足の骨を折ってしまいました。弊社の担当者が病院まで送り届け、入院中も1回お見舞いに行きました。弊社としてはやるべきことをしたつもりです。

しかし、最近になって学生の親が「インターンシップとはいえ、勤務中の事故なのだから治療代と慰謝料を支払え」と言ってきました。裁判に訴えそうな感じです。インターン生に対して治療代や慰謝料を支払わなければならないのでしょうか?特に危険な勤務をさせたことはありません。


回答
回答者:鈴木社会保険労務士事務所 鈴木ひろみ

インターンシップといっても、実態はアルバイトのような形で働かせている会社もあるようです。インターンシップとして受け入れた学生が、どのような勤務形態であったのか、その実態に応じて労働基準法上の労働者とみなされる場合やそうでない場合等に分かれます。

今回受け入れたインターンシップの学生について、労働者性を有するということであれば、労災保険の適用が受けられる場合があります。

●インターンシップの学生が労働者性を有するか否か

インターンシップにおける学生の労働者性については、次のような行政通達があります。

「一般にインターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり使用者から指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められなければ労働者に該当しない。直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生との間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当すると考えられる。なお、この判断にあたっては、個々の実態に応じて行う」(平9.9.18 基発第636号) としています。

労働実態はどのような形であったのでしょうか。再度検討してください。労働者性を有するということになれば、最低賃金の適用や労災保険の適用も受けることになります。

今回の相談だけでは、どのような内容でインターンシップの学生を取り扱っていたか不明ですが、労働者性を有するようであれば、労災保険が適用されますので、労災保険の手続きをすすめていきましょう。

●会社には安全配慮義務がある

今回のインターンシップが、(1)教育課程の一環として行われている、(2)直接生産活動に従事していない、(3)出社の義務や遅刻・早退の管理等行っていない、(4)一定額の手当や通勤費は支給されているが実費弁償や恩恵的給付と判断される等の場合は、労働者性はないと考えられますが、その場合でも会社には安全配慮義務が発生します。

よって、今回の事故が会社の施設瑕疵や安全管理上の不備等であれば、学生から損害賠償請求をされることも考えられます。

今回の事故の原因はどこにあるのか、事前に危険個所の説明をしたのか、作業マニュアルの確認をしたのか、安全装備の装着をしたのか等、会社が学生に対して安全管理どの程度行っていたのか検討する必要があるでしょう。その上で、慰謝料・治療代の支払いを考えるべきです。

 

 

鈴木ひろみ(すずき・ひろみ)
東京都社会保険労務士会所属。法政大学法学部法律学科卒業。東映CM入社。TV-CMの製作進行、プロダクションマネージャーとしてTV-CMの企画・製作を担当。その後、ファッション雑誌編集者を経て、1995年に鈴木社会保険労務士事務所を開設。著書に「どうなるの?わたしたちの労働環境」、「得する年金損する年金 図解新年金制度」など。


(東洋経済HRオンライン編集部)

 

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