三菱自動車、変わりえない「隠蔽体質」の末路 燃費試験で不正発覚、対象は62.5万台に

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――意図的な不正か?なぜ行われたのか?

相川社長:操作は意図的なものだと考えている。いい燃費に見せるという意図があったのは確か。なぜ不正までしてやろうとしたかは、調査中でわかっていない。この件に関して、私は把握していなかった。経営として責任を感じている。

三菱自動車の「eKスペース」。現在、販売は停止している(撮影:大澤誠)

――社長の責任についてはどう考えているのか?

相川:まずはこの問題を解決する、再発防止の道筋をつけることが責任だと思っている。それ以上のことは考えていない。

――誰が不正を行ったのか?

中尾龍吾副社長:数値の不正を行ったのは性能実験部。その中でどのレベルまでの社員が関与していたのかは調査中。社内だけの調査では透明性がないと考えているので、外部の調査を含めて全貌を解明していきたい。

不正の詳細は明らかにされず

――ういった経緯で発覚したのか?

中尾:昨年8月、当社と日産で協業で作っている軽自動車の次期車について、日産のほうで開発をすることが決まった。日産が11月ごろ、燃費試験を始めるために、現行車のデイズの燃費を測定したところ、乖離があることがわかった。そこで、12月に日産から「合同で調査をしたい」と申し入れがあった。

それを受け、今年2月に合同で実際の車の燃費を調査、3月に分析した結果、走行抵抗値(車両走行時の転がり抵抗と空気抵抗の値)に差があることが判明した。4月から社内で調査を始め、最終的に不正があることが発覚、社長に報告したのは13日だった。

――国による検査をどう通過したのか?

中尾:われわれのほうから走行抵抗値を提出する。国の方としては、走行抵抗値が正しいと思ってそれをインプットするので、(不正かどうかは)わからない状態であった。

――不正に何人の社員がかかわっているのか?動機については?

中尾:調査を始めたところで明確になっていない。現時点で経営からの圧力と言っている者はいない。理由については徹底的に解明し、再発防止を図る。

――性能実験部の社員からどのような話があったのか?

横幕康次開発本部長:当時の性能実験部長が「私が指示をした」と言っているが、指示を受けた人間のヒヤリングは完了しておらず、事実かどうか確認している。全体のヒヤリングをみた上で判断したい。

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